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 輸入車販売のヤナセ(東京・港区)は、札幌など一部地域で導入している自動車保険販売の支援システム「TIMS(タイムス)」を、今年9月までに全国の店舗に展開する。

 約1000人に達する同社の自動車営業担当者は、顧客が新車を購入する際に自動車保険を併せて勧誘している。タイムスを同社の基幹システム「オートライン」とつなげることで、車両情報と保険情報を連動させる。これにより、営業担当者は車両のデータや保険の契約内容など、担当する顧客の情報を一括して検索できるようになる。投資額は1億5000万円。自動車保険の販売は手数料のほか、事故時の修理費用などサービス収入に結び付きやすい。保険販売を支援する仕組みを強化することで、増収につなげる考えだ。

機動的な保険セールスが可能に

 営業担当者はこれまで、各損害保険会社が提供するウェブサイトなどを使い、個別に見積もり業務を行っていた。そのため、営業担当者を統括する店舗のマネジャーは各担当者の保険セールスの進ちょく状況が分かりにくく、更新時期にきちんと営業活動をしているのかなどをシステム上で管理することができなかった。しかも、地区ごとに異なるシステムで保険契約の実績を管理していたため、本部も全店の保険販売の状況を把握しづらかった。各地区から紙で月次報告してもらい、全国の販売状況を集計していたのだ。

 執行役員で営業本部金融保険レンタカー営業部の山川悦史部長は「結果報告だったので、対策を打とうとしても1カ月以上先にしか実行できず、機動的なセールス活動ができなかった」と、これまでの仕組みの不備を認める。

 今後はタイムスを通じて、保険の更新時期などに的確に営業活動させるといった管理も可能になる。あいおい損害保険など保険会社5社のシステムとも連携するため、タイムスのシステム内で各社の見積もりを作成することもできるという。

 さらに、各営業担当者の自動車販売実績と保険契約情報を基に、「販売台数のうち、保険の契約も取れた件数」といった個人の業績も即座に把握できる。満期が近づいている顧客に対して、担当者が見積もりを作って更新の案内をしているかどうかをマネジャーが確認することで、更新提案の抜けや漏れもなくせる。現在92%の保険の継続率を95%まで引き上げたいという。

 「タイムスの導入は、顧客にもメリットがある」と山川部長は見ている。例えば、契約者が事故を起こすなどして、保険の契約内容を知りたいと問い合わせてくる場合だ。「事故は対応によっては顧客から信頼を得られるチャンスでもある」(山川部長)。仮にその顧客の担当者が不在であっても、ほかの担当者がタイムスを検索すれば契約情報を確認できるため、顧客に不便を感じさせずに済む。

 タイムスを導入し、基幹システムとつなげることで、ヤナセは2007年9月期に23億5000万円だった手数料収入を、5年後の2013年9月期に約33億円まで引き上げることを狙う。