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島津製作所の天野輝芳・地球環境管理室長
島津製作所の天野輝芳・地球環境管理室長

 島津製作所は環境対策を経営に生かす取り組みを強化している。環境会計の手法の1つである「マテリアルフローコスト(MFCA)会計」を三条工場(京都市)の無電解ニッケルメッキ工程に適用。排水・廃液処理にかかるコストを算出し、その処理コストを削減するための対策を2007年から開始した。対策が本格化した2008年度、処理コストを10%削減することを目指している。

 MFCA会計は製品の製造工程で発生する廃棄物に注目。廃棄物を“負の製品”とみなし、廃棄処理にかかる費用を「原価」として算出する。廃棄物の量を減らすことなどにより、コスト削減に結び付けることを狙う。

 島津製作所は以前から、環境対応上、無電解ニッケルメッキ工程の排水・廃液処理に大きな負荷がかかっていることを認識していた。処理に問題がないかを監視する要員を配置していたこともあり、「この工程で多額のコストが発生しているのではないかと感じていた」(天野輝芳・地球環境管理室長)。ただし従来は、ほかの工程を含めたメッキ工場全体で処理コストを算出していたため、一つひとつの工程のコストを把握できずにいた。

 そこで天野室長は2007年1月、無電解ニッケルメッキ工程にMFCAを適用した。排水・廃液処理にかかる人件費なども含めて算出したところ、処理コストはこの工程の生産コスト全体の27%にも達することが判明した。廃液処理にかかるコストを原価に上乗せした場合、「原価の総額が製品の販売価格を上回ってしまっていた」と天野室長は打ち明ける。

 このため島津は、この工程を要する製品の販売価格を値上げするとともに、排水・廃液処理のコストを削減する取り組みを始めた。まず、廃液処理の委託方法を見直し、処理にかかる費用を削減。また、廃液処理に必要な中水装置をより効率的なものに切り替えた。これらによって、従来の処理方式よりも廃液の排出量を削減できるという。

 さらに、中水装置のフィルターの交換頻度を減らすために、ろ過装置を使った前工程を導入。これらの装置を本格的に稼働させる2008年度に、コスト削減効果を総合評価する予定だ。