PR
エルム楽器の寺田良紀社長
エルム楽器の寺田良紀社長

 少子化が進み、ピアノなど楽器市場が縮小するなか、音楽教室やコンサート事業、中古商品の販売と多角化に乗り出し、奮闘している企業がある。音楽教室や楽器店を経営するエルム楽器(札幌市)だ。今年3月11日、平成19年度「北海道IT(情報技術)経営貢献賞」(北海道経済産業局長表彰)に、受賞10社のうちの1社として選ばれた。

 同社はもともと1974年、室蘭市で寺田良紀社長が創業した。札幌市と室蘭市、千歳市、釧路市で83の音楽教室を構え、生徒数は1万人を超す。ヤマハ楽器と特約店契約を結び、楽器販売と教室事業を営んでいる。楽器販売からスタートしたが、現在はおよそ20億円の年商の6割を音楽教室やピアノの調律、コンサート開催といった周辺事業で稼いでいる。「国内のピアノ生産量は最盛期の10分の1ほどにまで落ち込んでいる。楽器を売るのではなく、音楽という楽しみを売る時代だ」と寺田社長は話す。

 そこで3年前から、CRM(顧客情報管理)システムの活用を始めた。エルム楽器には様々なニーズを持つ顧客がいる。教室に通う生徒、楽器や楽譜だけを買いに来る人、同社が主催するコンサートなどに足を運ぶ人、定期的にピアノの調律を依頼する人――。かつては部門ごとに顧客情報を管理していたために、ほかの部門の商品やサービスを勧めることが困難だった。現在はあらゆる顧客データを一元管理することで、ダイレクトメールなどを通じて適切なタイミングで提案営業が出来る仕組みが整った。営業担当者が顧客分析のために積極的に利用しているという。

 ヤマハの製品である防音室のように、需要が限られる商品をヒットさせるなど、一定の効果も表れつつある。寺田社長は「システムを使っているのはまだ一部の社員に過ぎない。より多くの若手社員が使うようになってほしい。CTI(コンピュータと電話の統合)を導入するなど、電話がかかってきた時点で、その顧客の情報を見られる態勢にすることも考えたい」と貪欲だ。かつての「町の楽器屋さん」はIT活用に生き残りの道を見いだしている。