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 「『おサイフくん』反対運動サイト」が話題を呼んでいる。がま口財布に顔と手足が付いたキャラクターが、「みずからのおサイフ生命をかけて、『おサイフくん』の普及阻止に全力を尽くします」と宣言し、電子マネー・キャッシュレス決済に異を唱える内容だ。2008年2月に開設され、3月にはサイト視聴率ランキングの上位に顔を出すようになった。「面白い」「絵がかわいい」などとブログでの口コミが広がっている。

 実は、これはトヨタ自動車系のトヨタファイナンス(名古屋市)の広告サイトだ。「おサイフくんはこんなに危険なサービスだ!!」などとする表示をクリックすると、トヨタファイナンスのサービス紹介ページに行き着く。

 サイトは携帯電話機だけで後払い式電子マネー決済を利用できる「おサイフくんQUICPay(クイックペイ)」のサービス開始に合わせて開設した。コンビニエンスストアのセブン-イレブン、ローソン、サンクスKサンクスやファミリーレストランのロイヤルホストなど、クイックペイが使える全国3万店以上で、レジで携帯電話機をかざせば支払いが完了する。引き落とし用の銀行口座さえあれば、クレジットカードを持っていなくても申し込める。

 クイックペイのICカードはJCBやクレディセゾンなどが発行しており、全体で375万人(2月末時点)の会員がいる。中でもトヨタファイナンスが会員獲得に熱心で、クイックペイ会員全体のうち約300万人(同)を占める。約650万人の既存の自社クレジットカード「TSキュービック」の会員カードをクイックペイ対応に切り替えつつある。

 ただし、TSキュービックはトヨタ車購入時に入会した人が多く、40~50歳代が顧客層の中心。“反対運動”を仕掛けたトヨタファイナンスマーケティング部の斎藤裕司氏は「キャッシュレス決済という分かりにくいサービスの認知度を高めるとともに、20歳代~30歳代前半の若者にもリーチすることを考えた」と言う。

 反対運動サイトを経由して申し込んだ人はまだ数百人程度で、「会員獲得への貢献度は小さい」(斎藤氏)。現時点では検索エンジンのキーワードに応じて表示する広告(リスティング広告)から申し込みページに誘導するほうが効率が良いが、「長期的に口コミを広げて、若年層における認知度を着実に高めたい」と斎藤氏は話す。

交通系ICカードの普及が遅れる中京圏

 中京圏は首都圏や関西圏などに比べて交通系ICカードの普及が遅れている。首都圏ではJR東日本(東日本旅客鉄道)の「Suica(スイカ」)や、私鉄・バスの「PASMO(パスモ)」が合計3000万枚以上普及しているのに対し、JR東海が発行するICカード乗車券「TOICA(トイカ)」の発行数は約50万枚超(2008年4月時点)にすぎない。TOICAは地下鉄や私鉄、バスなどでは使えず、買い物の支払いに使える電子マネー機能もない。

 そこでトヨタファイナンスはクイックペイ対応カード・携帯電話の普及活動と並行して、お膝元の名古屋駅周辺などで独自にクイックペイの加盟店開拓を推し進めている。「東京では交通系ICカードが圧倒的に普及しているが、中京圏はそもそも公共交通インフラが充実していない。こうした状況で『キャッシュレス社会』を構築する役割を果たしたい」(広報室の手嶋雅春氏)と意気込んでいる。