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着工前に関係者全員が集まって、工事の問題点を洗い出す
着工前に関係者全員が集まって、工事の問題点を洗い出す
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 国土交通省中部地方整備局の名四国道事務所は2007年11月、「CCPM(クリティカル・チェーン・マネジメント)」という管理手法を導入した。1カ月半かかると見られていた工事を2週間で終えるなど、早くも工期短縮の成果が表れている。

 CCPMとは、期間短縮を図るためのプロジェクト管理手法の1つ。プロジェクト実行時に予想される問題点を事前に洗い出したり、ボトルネックとなりそうな工程での対処法を準備しておくのが特徴だ。中部地方整備局の場合、CCPMによって従来よりも工期を短縮できるようになれば、総工費の削減につながる。

 まず取り組んだのが工程管理の見直しだ。中部地方整備局の担当者や、工事を受注した施工業者などの関係者が集まって、事前に問題点を洗い出す会議を開くことにした。工事に入る前に発生し得るトラブルを想定しておくことで、あらかじめ対策が立てられるようになる。

 従来は工期中にトラブルが発生すると、作業を中断して協議することも多く、何も作業ができない「手待ち」を現場に発生させることもあった。そのようなことをなくすことで工期短縮につなげる。この会議では「ODSC(目的・成果物・成功基準)シート」という書類を作成、参加者全員で目的や成功基準を共有し、工事に一丸となって取り組む環境を作り出した。

 このような会議を開くことで、中部地方整備局の職員は工事のどのような個所で問題が発生しやすいかといった知識を習得できるようになり、人材育成面でも効果が表れている。最近では、国が発注する工事の企画でも土木コンサルタントなどにアウトソーシングする比率が高まっており、工事の全体像を把握する能力が薄れていた。「判断する機会が少なくなり、技術力が身につかなくなっていた」(名四国道事務所の高井嘉親事務所長)が、CCPM活動を始めたことでノウハウの取得も見込まれる。

 ベテランの知恵や工夫が生かされるケースも増えている。例えば、道路舗装工事で渋滞発生を避けるためのノウハウが取り入れられた。通常は朝8時から夕方17時までが作業時間だが、交通量が多い金曜日は工事のために片側通行にすると長い渋滞が発生してしまう。渋滞を抑えるため、金曜日は工事を15時までにするというベテランの提案が採用された。「片側通行となった場合にどの程度渋滞が発生するかはベテランには予想がつくもの。そんな知識や経験を若手に継承することに期待している」と名四国道事務所の青山秀樹副所長は話す。金曜日は15時に終わらせても、従来ならば1カ月半かかっていた工事を2週間に短縮できた。渋滞を抑えたことで周辺住民の評判も良かったという。