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写真●日清製粉の鈴木隆一製造課主幹
写真●日清製粉の鈴木隆一製造課主幹

 日清製粉(東京都千代田区)の鶴見工場(川崎市)は2008年3月、米AIB(米国製パン研究所)の食品安全統合基準「AIBフードセーフティ」にのっとった監査を受け、その最高評価である「スーペリア」を獲得した。AIBフードセーフティは、国内で2001年に製パン業界から適用が始まり、現在は製粉や乳製品、製菓などの業界にも広がっている。AIBの最高評価を獲得するのは難しく、日清製粉では知多工場(愛知県知多市)に続き2工場めの快挙。競合では昭和産業が6工場中1工場で取得している。製パン業界の品質管理の規格として定評があるAIBフードセーフティで高い評価を受けたことによって、主要取引先である製パン業界などからの信頼が高まることを日清製粉は期待している。

 鶴見工場は、同社の基幹工場で国内で消費される小麦粉のおよそ1割を生産する。操業は1926年開始と古く、80年もの歴史を持つ工場で、敷地内には当時からの施設もある。2007年、敷地内の一部施設では最高評価を受けていたが、今回の監査で工場全体で最高評価を獲得した。監査では、壁の塗料の削れや、はく落なども厳しくチェックされるため、80年以上も操業してきた同工場が最高評価を獲得するのは困難との見方も社内で出ていた。それだけに、同工場の品質管理の責任者である鈴木隆一製造課主幹は、「老朽化して開いた壁の穴を一つひとつふさぐなど、約5年をかけて改修したかいがあった」と喜びを隠さない。

 食品メーカーを対象にするマネジメント規格としては、ほかにISO22000などがあるが、AIBの監査の特徴は、単に製造ラインが正しく安全に活動しているかどうかをチェックするにとどまらないこと。従業員のモラルや、施設の保守を怠っていないかどうかも監査対象になる。大きく5つの評価項目があり、各項目は200点満点。合計700点以上で「適合」、800点以上が「エクセレント」、900点以上で「スーペリア」の評価となる。他社では、2007年1月に賞味期限切れの原材料の使用が発覚した不二家が、問題を起こした工場を建て直すために同年2月からAIBフードセーフティに取り組んでいるなどの例がある。

 日清製粉の鶴見工場では、施設の改修はもちろん、品質管理への意識を高める現場活動などに積極的に取り組んできた。例えば、「職場間監査」と呼ぶ現場の相互チェックの仕組みがある。工場内の8部門約40人を製品安全組織メンバーに任命し、2部門をペアにして第三者の視点で問題を指摘し合う。互いの指摘によって部門間での競争意識の促進や、品質チェックに対する見る目を養う狙いがある。AIBの採点方式では一部の職場が不適合と指摘を受けると、ほかでどれだけ高い評価を受けても、全体の評価も不適合とされてしまうため、このように全部門の品質意識を引き上げる活動が不可欠だった。

 今後、鶴見工場は一定期間をおいて再度監査を受け、最高評価を維持していく方針。AIBでは再度監査を受けることは強制されていないが、改めて評価を得ることで、外部に管理の徹底ぶりをアピールしていく考えだ。また、現状では「エクセレント」評価にとどまっている千葉工場(千葉市)など、国内のほかの工場にも鶴見工場のノウハウを移植していく。