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ザッピングのトップ画面 視聴時間の長いブログと関連するキーワードが分かる [画像のクリックで拡大表示] |
リクルートの子会社ブログウォッチャー(東京・港区)が運営するブログ検索・分析サービスの「ザッピング(thatsping)」が口コミで急速に広がっている。同社は積極的な告知・宣伝をしていないが、分析対象のブログ数は2008年3月のサービス開始以後、4月末に約9000件、6月末には約1万4000件に達した。
ザッピング(zapping)とは頻繁にチャンネルを変えながらテレビを視聴するという意味。このサービスはブログの「視聴時間」を個別に測定できるのが特徴だ。立ち上げを主導した同社の古川健介氏は「ブログ内容を解析する際に『時間』という切り口を取り入れることで精度を高め、ネット利用者が求めている情報に確実にたどり着けるようにしたい」と話す。現在はまだ実験段階だが、将来的には利用者層の分析を生かして広告事業の展開を目指している。
ブロガーが自分のブログにザッピングのHTMLタグを張り付けておくと、サイト視聴者が特別な操作をしなくても「どんな検索キーワードでウェブサイトにたどり着いたか」と「視聴時間(5秒・10秒・30秒・60秒以上の4段階で測定)」がブログウォッチャーのサーバーに自動送信される。この2つのデータを組み合わせて、「どんなキーワードで検索した人が熟読しているか」を集計する。検索エンジンからブログにたどり着いたものの5秒程度で去った場合と、数十秒かけてじっくり見た場合とを比べると、後者のほうが興味がある人が見ていたと推測できる。
逆に言えば、ある特定のブログに熟読に値する有意義な情報が載っているかどうかが分かる。例えば「『無線LAN』で検索した人が、携帯電話データ通信について書いてあるブログを熟読している」といった、単語レベルにとどまらない概念レベルでのキーワードの結び付きが見えてくる。特定の概念に深い興味を持つ人に対象を絞って広告を表示することで、宣伝効果を高めることが期待できる。
学生起業家がリクルートに“就活”
古川氏はブログウォッチャーで「編集長」の肩書きを持つが、ネット上では「けんすう」というハンドルネームで知られている。大学生だった時に少人数の仲間と「ミルクカフェ」を立ち上げ、中学・高校生向けネット掲示板の先駆けになった。その後、汎用レンタル掲示板の「したらば」を立ち上げて、ライブドアに売却した。
学生時代の仲間だった矢野さとる氏はネット上の犯行予告情報を収集する「予告.in」を開発するなどフリーのプログラマーとして活躍しているが、古川氏は「普通に“就活”してリクルートに入社した。ザッピングのようなサービスを展開するのは個人では大変」と話す。ザッピングを運営するには、同じネット利用者から秒単位で信号を受け取れるだけの比較的大きな処理能力が必要になるため、リクルートグループのシステム基盤を生かしているというわけだ。