日野自動車は販売会社の改善活動支援を強化している。2008年2月に営業改善支援部を設置。これまで営業部門は販社改善支援室、整備部門は改善支援部と別々に改善活動を支援していたのを一本化した。同社は2007年から、1人の営業担当者が新車販売や部品の交換、中古車販売など顧客の要望に何でも対応できる体制作りを目指している。窓口を一本化することで、顧客との関係を強化することが狙いだ。整備と販売部門の連携が必要な活動が増えてきたこともあり、新組織を作った。
営業改善支援部は約半年間かけて、販社の担当者とともに営業力強化のための改善活動に取り組む。販社内で改善活動を主導できる人材を育成し、定着を図るまでが営業改善支援部の役割となる。2008年度は販社6社と取り組む計画だ。
具体的な活動の中身は、顧客への訪問回数を増やすための支援である。トラックの平均買い替えサイクルは約12年と長く、顧客との日常的な関係をどう築いていくかが課題だった。営業改善支援部の内藤登紀夫部長は「営業担当者は何か用事がなければ顧客を訪問しづらい。そんななかでどう信頼関係を構築していけばいいかについて支援する」と話す。「名刺を置いてくる」といった日々の営業プロセスを9段階に分解して分析するとともに、顧客に訪問するきっかけとなるツールを提供している。
ツールの1つが、お役立ち活動と呼ぶものだ。顧客が抱える「困りごと」を解決していくことで信頼を獲得し、受注につなげようというものだ。営業改善支援では顧客の困りごとを解決するために、26のメニューを用意した。
例えば、燃料費が高騰するなかで燃費を高めて効率良く走行する方法を説明する講習会を開いたり、走行中の居眠り事故を未然に防ぐために原因の1つとされる睡眠時無呼吸症候群の診断テストを実施するといったものだ。「こうしたメニューを提供できることを紹介しながら顧客の相談に乗り、実際に困りごとを解決していくうちに信頼関係は生まれる」と内藤部長は言う。定期的に実施する車検などの受注増にも期待しているという。今後はさらにメニューを増やすとともに、ほかの販売会社への水平展開も進めていく考えだ。