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 日新製鋼は,自然災害などで基幹システムが停止した場合でも継続的な製品の生産や供給を可能にする災害対策システムを構築した。大阪と広島の2拠点でシステムを2重化し,2008年6月1日から運用を開始している。日本IBMと共同で開発したもので,初期投資額は2億6000万円。

 日新製鋼では従来,基幹システムのホスト・コンピュータを大阪府堺市の堺製造所に集中して設置していた。そのホスト・コンピュータは全国の事業所の業務を担っているので,堺市に自然災害などが発生してシステムが停止した場合,全国の事業所で生産停止など重大な影響が出る懸念があった。

 今回構築した災害対策システムは,堺製造所のホスト・コンピュータから,約300km離れた広島県呉市の呉製鉄所のバックアップ・コンピュータに,約12秒間隔で基幹業務データを送信する。遠隔地間のデータ・コピーとシステムの自動復旧機能には,日本IBMの「GDPS(広域分散並列シスプレックス)/グローバル・ミラー」を採用している。新システムの構築に当たっては,堺製造所と呉製鉄所の間に通信速度600Mビット/秒の専用回線を新たに設置した。

 堺製造所のホスト・コンピュータが被災して停止したときは,呉製鉄所のバックアップ・コンピュータに切り替えて,処理を継続できる。被災していない事業所の生産を継続しながら,約半日以内に全事業所のシステムを復旧できるという。