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森永製菓広報・IR部の馬場里佳氏(左)と中村芳氏(右)。馬場氏の持つのが2008年5月のリニューアル以降の『森永ライフ』。誌名のロゴは1956年の創刊時期のものにした。長年、従業員の子供が描いた菓子の絵が表紙を飾っている

 製造業を中心に紙媒体の社内報が持つ価値が見直されている。近年、社内コミュニケーションの手段として社内SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やイントラブログなどウェブ2.0関連の技術が注目されてきたが、社員がパソコンを1台ずつ持たないことが多い工場や定年の延長や定年後の再雇用制度にともない60歳以上の従業員がいる職場では紙の社内報が重宝される。

 創刊52年の社内報『森永ライフ』を隔月で発行している森永製菓もそんな1社だ。社員はもちろんパートや契約社員、グループ企業の従業員、OB・OGにまでおよそ5600部を配布している。「グループの経営情報の共有」「社員同士のコミュニケーション向上」「食品メーカーの社員としての知識向上」という3つの発行目的は創刊以来変わらないが、2008年5月号からは2つ目のコミュニケーション強化に重点を置いたリニューアルを行ったところ、社員からの反響は上々であるという。

 森永ライフの特色は毎号とにかく数多くの社員が写真と名前入りで登場することである。例えば、2007年7月号の特集「品質への自信~お客様の信頼にお応えするために~」には6ページで品質保証体制にかかわるキーマン19人がそれぞれの業務を詳しく語っている。1つの特集に30人が写真入りで登場することもある。編集員である広報・IR部の馬場里佳氏は「知人が載っていると読んでもらいやすい。読まれなくては意味がないし、社内報に取材されるような商品を開発をしようと頑張る社員もいる。できるだけたくさんの社員を紙面で紹介したい」と話す。

 ただし、やみくもに載せているわけではない。リニューアル号から始まった新連載「THE仕事人」では社長賞などの受賞者を紹介するが、取材は丸一日密着して働きぶりを取材し、その人をよく知る同僚らにも話を聞くという力の入れよう。「受賞者を褒めるためではなく、読んだ社員が経営側が求める人物像を理解したり、刺激を受けたりするような記事を作る。そのためにみっちり取材する」(広報・IR部の須古邦子広報担当マネジャー)。

 社内報全体としては一号に100人近い社員が写真入りで登場する一方で、特集記事はテーマを絞って特定の読者に届けようとしている。その狙いを編集員の広報・IR部中村芳氏は「読者である従業員の職場は生産から営業、年齢は20~60代までと幅広い。全員が関心のあるテーマは多くない」と話す。5月号の「母の日特集~モリナガは、働くお母さんを応援します!~」は若手の女性社員を意識した。育児休業にかかわる社内制度や、昨年導入した出産・配偶者の転勤などで退職した従業員の再雇用制度「エンゼル・リターン制度」を説明しつつ、実際に育児しながら働く社員の声や一日のスケジュールを盛り込んでいる。

 経営情報を掲載して、森永製菓本体の社員にだけ配っていた時期もあったが、連結経営を強化し始めた2006年からグループ会社にも配布するようになり内容も読みやすいものにした。「社員向けの経営情報はイントラネットで伝えることができる。森永ライフは1人でも多くのグループの従業員に手に取ってもらい、帰属意識を強める経営ツールになれば」と須古マネジャーは話す。「社内報を読むことで一人ひとりの行動が変わっていくのが理想」。社外広報業務と森永ライフの編集作業を兼務する中村氏と馬場氏はこう口をそろえる。