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写真●KDDIの竹之内剛コンテンツ・メディア本部コンテンツサービス企画部長

 KDDIが携帯電話ユーザー向けに2008年1月に開始したランニングやウォーキングの支援サービス「au Smart Sports Run&Walk」が好調だ。携帯電話をトレーニングデータの管理などに活用できるもので、2008年6月末時点で加入者数が20万人を突破。7~8月も従来以上のペースで加入者を増やし続け、加入者数の年度目標は既に上回った。アディダス ジャパン(東京都新宿区)と共同で開発した関連商品をネットで発売したところ直ちに売り切れるなど、大きな反響を得ている。KDDIは「投資の回収時期を先延ばしにして、設備投資の拡張を急いでいる」(竹之内剛コンテンツ・メディア本部コンテンツサービス企画部長)と嬉しい悲鳴を上げる。

 au Smart Sports Run&Walkは、携帯電話のGPS(全地球測位システム)機能を利用してランニング・コースの地図を表示したり、1日の歩数・消費カロリーを表示したりすることで、利用者の運動意欲を高める仕組みである。このほかに、同じ時間に走っている愛好者の人数を表示する機能や、ランニングの履歴をインターネット上に保存し、利用者が確認できる機能なども備える。これらの機能によって、「別の愛好者と一緒に運動しているという一体感や、日々の成果を実感できる点を利用者が評価してくれた」(竹之内部長)とKDDIは分析している。

20~30代女性にはフィットネス関連の訴求が有効

 au Smart Sports Run&Walkは、データ通信を活性化させる戦略的なコンテンツ・サービスと位置付けている。国内の携帯電話サービスの加入者数は1億人を突破し、飽和状態に近い。今後、収益を伸ばせるかどうかは利用者1人当たりの利用頻度を高めることにかかっており、コンテンツの充実が不可欠だ。

 これまでも音楽配信の「リスモ」など様々なコンテンツ・サービスを拡充してきた。だが認知度こそ高まったものの、加入者の大多数はまだ利用していないのが実態だ。特に、女性の加入者の大半は、用途がメールと通話に限られ、コンテンツのダウンロードなどをしていなかった。

 同社のコンテンツサービス企画部は「従来は新サービスや機能を開発してアピールしてきたが、顧客に押しつけているような状態だった」と反省した。2006年に議論を重ね、「顧客一人ひとりのライフスタイルに密着したサービスを開発しよう」と意見がまとまった。

 アンケートやグループ・インタビューを実施し、主要ターゲットと位置付けた20~30代女性顧客のライフスタイルや関心を探った。すると、美容や健康のためにフィットネス関連には投資を惜しまない女性が多いこと、中でもランニングがブームになる兆しが見えてきた。そこでスポーツを軸としたコンテンツ・サービスを企画し、第1弾としてRun&Walkを開発したのである。

ライトユーザーが“パケ死”するほど積極的に活用

 Run&Walkの加入者の傾向を見ると、当初のもくろんだ20~30代女性と、メタボリック症候群を意識する30~40代男性がほぼ同じ割合で1、2位を占める。開始前は主にランニング初心者の加入を想定していたが、「実際には中級以上の運動に対してアクティブな層が多く加入してくれた」(竹之内部長)。今後は、従来よりも専門性の高いコンテンツを充実させる方針だ。

 裏付け調査はまだ実施していないが、携帯をあまり活用していなかった加入者の利用頻度を高める課題にも、ある程度の成果を上げていると考えている。竹之内部長がインターネットの掲示板などを閲覧して反応を探ったところ「掲示板の書き込みで『パケ死』という言葉を久々に目にした」(竹之内部長)からだ。

 パケ死とは、データ通信の利用料金が支払いに窮するほど高額になることを表す俗語。2003~2004年に通信料定額メニューが登場した後は、ヘビーユーザー層は通信料定額メニューに移行したため、半ば死語になっていた。パケ死という言葉が復活したのは、通信料定額メニューを利用していなかったライトユーザー層が、急にデータ通信を活発に行うようになった証しだと推測できる。