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リクルートの須藤憲司・メディアテクノロジーラボ ビジネスプランナー

 「バナーを大量に募集してその中からクリック率が高いものを短時間で見つけ出して集中的に表示させ、効果が低下してきたら別のものと入れ替えれば良い」。こんな発想でバナー広告の表示効果を高めるサービス「みんなのクリエイティブエージェンシーC-TEAM」をリクルートが2008年8月に開始した。その後、グループ会社が運営する5つのウェブサイトに誘導するバナーで検証したところ、クリック率が平均1.97倍になる成果を9月に得られたという。2008年中にもこの仕組みを用いたバナー広告事業を本格化させる。

 インターネットの利用者にどれだけクリックしてもらえるかを競うバナー広告だが「必勝パターンはなかなか作れなかった」(サービスを開発した同社メディアテクノロジーラボの須藤憲司ビジネスプランナー)。デザイン性が高くてもクリックされるとは限らず、たまたま目に留まりやすくクリック率が高いバナーを作れたとしても、ネットの利用者はすぐに飽きてしまい、通用期間が短かった。

 具体的な仕組みはこうだ。まずフリーのクリエーターやクリエーターの卵などにバナー作成を依頼する。サービスを開始した8月に専用サイトを開設し、一般のネット利用者にバナー制作を依頼。バナー1個を作成してくれただけで500円相当のポイントを支払っている。岩手大学などの協力もあり、1カ月あまりで約1200人のネット利用者がクリエーターとして登録した。

 次に、NTTレゾナントのポータル(玄関)サイト「goo」などに複数のバナーを無作為に表示させて、クリック率が高いものを選び出す。短時間のテスト表示でクリック率が高いバナーを選び出すアルゴリズムなどを米国の数学者と共同で研究しながら作り上げたという。ただし、どの位の時間で選び出すことが可能なのかはケースバイケースだとしている。

 そうして選出したデザインをほかのウェブサイトも含めて集中的に露出させる。バナーの入れ替え基準にまでクリック率が低下したら、次のバナーに入れ替える。入れ替えの基準値は従来のデータを参考に設定しておく。

 住宅情報のコミュニティー・サイト「スマッチ!」に誘導する約100個のバナーで検証したところ、クリック率が従来よりも1.78倍に増加した。ほかのサイトでも1.6~2.4倍になる効果が得られた。バナーを閲覧したネット利用者が、クリックし、引き続いて会員登録など次の有用なアクションに移る比率で見ると、従来の4.9倍に跳ね上がった。

クリエーターが自発的にPDCAサイクルを回しデザインの質が向上

 今回の仕組みは、企業などがインターネットを通じて不特定多数の群衆(クラウド)に業務を委託する「クラウドソーシング」の先進事例だとも言える。完成したバナーは2000個を突破し、「最近は毎日60~100個ずつ出来上がってくる。募集する広告の数が足りないほど」(須藤氏)と順調に増え続けている。

 この仕組みだけでデザインの質を担保できるのかどうかが課題だが、日を追うごとに質は底上げされているという。専用サイトではクリック率が高いバナーに対してボーナス・ポイントを提供して紹介しており、「クリエーターたちが表彰されたデザインを参考に『数字を目立たせたほうがクリック率が高まるのではないか』などと、自発的にPDCA(計画・実行・検証・見直し)サイクルを回してくれている」(須藤氏)。リクルートがスマッチの後にデザインを募集した「コレカラネット」などの広告バナーのほうが、クリック率が高い傾向が出ているという。