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 2008年10月下旬、風土変革手法の1つである「ストーリーテリング」を実践し合い、参加企業の社員が組織改革への意欲を高めることを狙ったイベントが東京で開かれた。組織変革コンサルティング会社のヒューマンバリュー(神奈川県湯河原町)が主催したもので、主な参加者は、日産自動車、小田急電鉄、リクルート、リクルートフォレントインシュア(東京都中央区)、ネクスウェイ(東京都千代田区)の組織変革プロジェクトの中核メンバーたち。いずれもヒューマンバリューの顧客企業であり、変革活動の促進を狙って今回初めてストーリーテリングに挑戦した。

 ストーリーテリングは、印象的な体験や出来事を物語仕立てで引用することによって伝えたい思いや考え方を聞き手に強く印象付ける手法。企業のリーダーが多様な価値観を持つメンバーを取りまとめて組織の力を高めるために、同手法を利用するケースが増えている。

 5社の社員たちにとっては、本イベントは普段から自社内で実践してきた組織変革プロジェクトの一部といえる。例えば、日産自動車の社員にとっては、本イベントは2004年から研究・開発部門の社員が草の根活動的に取り組んでいる「組織イノベーション実践プログラム」の一環になる。組織イノベーション実践プログラムは、1万人規模の巨大な研究・開発部門内で生じがちな組織の壁を破り、新製品開発の知恵を現場が自発的に出し合う風土を強める取り組みである。

 通常、ストーリーテリング手法のコンサルティング会社の多くはリーダーの話し方の改善に力点を置く。リーダーがメンバーに伝えたいトピックスの内容に応じて「どんな物語を選択すべきか」「どんなタイミングで、どんな口ぶりや身振りで伝えれば、より効果的に印象付けられるか」などを指導することが多い。

 今回、ヒューマンバリューのコンサルタントは違った方針で指導をした。各社の発表者には「情熱を持って話してください」とだけ助言し、聞き手が話し手の真意をじっくりと議論する機会を設けた。イベント会場に置かれた30以上のテーブルごとに、異なる企業の社員が4人ずつ着席。まず各社から2~4人ずつが壇上に立ち、組織風土が良い方向に変わってきたと感じた体験について次々と語った。最後に、発表者個々の仕事に対する思いや所属企業にとって大切な価値観などについて、テーブルごとに4人で議論した。

 通常は社内で閉じている組織変革プロジェクトの一部を、複数の企業の社員が交わりながら実施する機会は珍しい。ヒューマンバリューの高間邦男代表取締役は「発表された物語をみんなで吟味することによって、聞き手は組織改革活動に対して受け身で無くなる。また、異なる企業の社員と議論することによって『自分の会社らしさ』や『自分の会社にとって大切な価値観』などをより鮮明に意識できる効果も見込める」と今回のイベントの狙いを語った。