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 損保ジャパンが2006年以来取り組んできた、顧客の声を改善に生かす取り組みが軌道に乗ってきた。2006年までの同社は、顧客からの問い合わせや苦情を本社や営業所、代理店などめいめいに受けていたため、件数のカウントすらできていなかった。2006年にお客さま相談室(2008年にカスタマーサービス部に改称)を設置し、問い合わせや苦情などの顧客対応拠点として佐賀にコールセンターを設けて、相談窓口をフリーダイヤルに一本化。さらに同年、データベースに記録した顧客の声を分析するためテキスト・マイニング・ツールであるクオリカ(東京・江東区)の「VextMiner」を導入したほか、改善を現場責任者が集まって検討する「お客様視点ミーティング」を週に1度のペースで開催するようになった。「以前は顧客の声を聞く体制すらできていなかった」とカスタマーサービス部VOC室の若泉光紀リーダーは振り返る。

 お客様視点ミーティングで取り組んだ改善の一例が、自動車保険証書に記載されていた対人賠償の保険金額の説明文の見直しだ。対人賠償の保険金額を「1名につき無制限」と記載したところ「1名だけしか無制限で保障されないのか」という問い合わせが多いことがコールセンターの記録から分かった。同社の自動車保険には、賠償対象者1人につき保険金の限度額が1億円のもの、もしくは同2億円のもの、無制限などがある。限度額を明確に表現するつもりで「1名につき」と記載していたのだが、限度額が無制限の保険にも同様の言い回しを使ったことが誤解を招いていた。そこで2008年4月に記載内容を変更した。

 2007年には、お客様視点ミーティングでは対応しきれない部門をまたぐ大きな課題の解決を図るため、佐藤正敏社長も出席して「VOC委員会」を四半期に1度開くようになった。そうして取り組んだ一例が2007年12月から取り組み始めた代理店の品質向上運動だ。商談や事故対応といった契約プロセスごとに代理店行動シートとよぶチェックシートを導入した。これは、顧客の声を集めて分析を進めるにつれ「商品の説明が不十分」「解約の手続きの依頼をしたのに対応を忘れられた」といった契約内容変更手続きに関する苦情が増えてきたことを受けて取り組んだ活動だという。

 これらの改善結果は、対外的に「お客さまの声白書」として2007年から毎年冊子にまとめて8月に公開している。さらに、カスタマーサービス部VOC室の若泉リーダーは定期的に佐賀のコールセンターに出向いて、改善事例について話すことにしている。顧客との通話内容を詳細に記録してもらうよう、コールセンターのスタッフのモチベーションを高めるためだ。「2~3カ月に1度訪問して、収集した声がどのように活用されているのかを報告している」(若泉リーダー)

 顧客の声の収集と活用に取り組んで3年目を迎えた2008年11月現在、コールセンターやアンケートなどで集めた顧客の声は100万件を超え、改善事例も100件前後に達したという。これまでは主力商品である自動車保険を中心に取り組んできたが、2009年度は火災保険などほかの保険でも同様の改善に取り組む予定だ。また、顧客の声を生かした新商品の開発にも取り組むという。

■変更履歴
1段落目に「お客様相談室」「苦情対応拠点」という記述がありましたが、それぞれ「お客さま相談室」「問い合わせや苦情などの顧客対応拠点」でした。1段落目の最後にあるコメントで「顧客の声を聞く姿勢」とあるのは「顧客の声を聞く体制」でした。2段落目で「…無制限の3種類ある」としていましたが、正しくは「…無制限などがある」でした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2008/11/11 15:30]