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パソコン画面を2つ使い、電子化したファクスの情報を見ながら注文情報を入力できる新システム
埼玉県草加市に新設した「三郷物流センター」での出荷の様子
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 壁紙や床材、カーテンなどを取り扱うインテリア商社大手のサンゲツが、関東エリアの商品出荷体制を強化している。2008年5月に関東エリアの第2在庫拠点として埼玉県草加市に新設した「三郷物流センター」が軌道に乗り、関東エリアでのJIT(ジャスト・イン・タイム)配送がスムーズになってきた。午前中に注文を受ければ、その日の午後2時ごろには販売代理店(問屋)まで商品を確実に届けられるようになった。各代理店がすぐさま地元の内装業者に商品を届ければ、その日の夜間の突貫工事や急な改修作業にも間に合うわけだ。

 建設現場における最終工程である内装工事向けのインテリア部材は、納品のタイミングが顧客満足度を大きく左右する。内装工事の現場は作業時間が限られており、壁紙や床材などの納品のタイミングが工事の進ちょくを大きく左右するからだ。それだけにサンゲツはもともと、商品の品質はもちろんのこと、「デリバリーも品質の一部」と考えて、JIT配送による安定供給にこだわってきた。だが、ここ数年は商品点数の急増に伴って、特に問屋の数が多い関東エリアではJIT配送に乱れが生じて「休み明けなど受注が集中する日には、お客様から『商品がまだ届かない』とクレームが来ることもあった」(森田卓・関東支店長)。

 そこで関東エリアでは、従来からあった東京都品川区の物流センターに次ぐ2カ所目の在庫拠点を埼玉県草加市に設置して2拠点体制を敷く決断を下した。主に東京都北部と北関東を三郷物流センターでまかなう。約1万点の在庫を抱える三郷物流センターは、大急ぎの問屋が待ち切れずに商品をセンターまで引き取りに来る「商品引取所」の運営にも乗り出しており、引き取りにくる前に出荷の処理をするなど、柔軟な対応もしている。センター稼働から約半年が経過して「クレームは無くなった」(森田支店長)

従来の3倍の受注処理を午前中にこなす

埼玉県草加市に新設した「三郷物流センター」での出荷の様子
パソコン画面を2つ使い、電子化したファクスの情報を見ながら注文情報を入力できる新システム
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 サンゲツはJIT配送を少しでも推進するため、2007年11月から受注情報の入力作業の効率化にも取り組んできた。受注画面のインターフェースを見直し、オペレーターの経験に依存する入力作業を、新人でもすぐにこなせて、かつ入力ミスが起こりにくい画面へと改良した。例えば、キーワードの一部を入力すれば、あとはシステム側で該当する情報を検索し、自動表示してくれるようにした。複数の画面にまたがっていた入力作業も1つの画面内に集約して情報を覚えておくためのメモ書きを無くし、同時に画面の切り替え時間も無くした。これにより、入力作業は1件当たり従来の約3分の1の時間でこなせるようになった。

 つまり、従来と同じ時間で3倍の受注処理をこなす業務効率化を達成したことになる。午前中に1日の注文の半数以上が殺到する三郷物流センターだけに、新しい受注処理システムは現場から好評を得ているという。