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 JTBグループのシンクタンク、旅の販促研究所は旅行者像を把握するために定性的な調査に力を入れている。高額の海外旅行ツアーに参加した客が、次に割安な国内バスツアーを選んだりするなど、顧客の嗜好は所得や家族構成といった基本的な属性からはとらえづらいものになっているという。同研究所は顧客数人を集めたグループインタビューや、観光地での観察・聞き取りといった定性的な調査から、変化する旅行の実態を調べている。JTBグループの広告会社であるジェイ・アイ・シー(東京・品川区)の一部門として、2006年4月に設立された。

 ジェイ・アイ・シー執行役員の安田亘宏・旅の販促研究所所長は「もちろんデータベース分析なども行うが、グループインタビューでは定量的なデータからは見えないことが分かる。1人の発言に触発されて様々な意見が出てくるからだ」と語る。

 JTBグループが持つ顧客データベースは膨大なものである。行き先や旅行客の属性別といった切り口で旅行を定量的に分析できる。それでも旅行者の意識変化に迫るには手間がかかるインタビューが有効だという。安田所長は「十人十色ではなく、価値観は多様になり“一人十色”という時代。インタビューや観察といった定性分析の重要性は高まっている」と話す。

 旅の販促研究所ではこうしたグループインタビューなどをまとめ、今年10月に『祭旅市場 イベントツーリズムの実態と展望』(教育評論社)を出版した。よさこい祭り、さっぽろ雪祭り、阿波踊り、祇園祭りなど、日本には100万人以上を動員する祭りがたくさんある。もともとは地元の住民中心で盛り上がっていたイベントに、今では全国や海外から観光客が押し寄せる。人気のある祭り・イベントは地域にとっても、旅行会社や交通機関、宿泊施設などにとっても重要な観光資源である。『祭旅市場』では祭りやイベントが掘り起こす旅行市場の可能性を解説している。

 同研究所はこれまでにも、欧米型の長期滞在に迫った『長旅時代 ロングツーリズムの実態と展望』、食事を切り口とした旅行を取り上げた『食旅入門 フードツーリズムの実態と展望』、ペット同伴の旅行が増加する現状を紹介した『犬旅元年 ペットツーリズムの実態と展望』を発表しており、新しい旅行形態の調査・分析シリーズとしては第4弾となる。今後も定性調査にこだわって旅行者研究を続けていくという。