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3系統あった回線を光に一本化

 現在のセブン-イレブン・ジャパンのネットワークは「第6次総合情報システム」に当たる。同社はこれまで,店舗での通信用途が増えるごとに,それぞれに適切な回線を追加して通信手段を確保してきた。

 まず91年には,発注業務やPOSレジスタからの販売情報収集用のISDN回線。97年には商品の説明画像や社員向けの教育用映像をストア・コンピュータに配信する衛星通信回線を導入。2001年にはセブン銀行のATMを設置し,ディジタルアクセス(DA)を追加した。

 だが,3系統の回線を1万2000カ所以上の店舗で運用すれば,トラブルの発生率は高くなる。「特に衛星回線には悪天候時に使えなくなるケースがあり,悩まされた」(セブン&アイ・ホールディングスの佐藤政行・執行役員・システム企画部CVSシステム・シニアオフィサー)。

 そこで,2006年5月の第6次システムの導入を機に,アクセス回線を光ファイバに一本化し,解決を図った。回線を1系統にすれば運用性は向上する。さらに光の高速性を生かせば,扱う情報量も増やせる。「光ファイバを導入しておけば,将来の増速が自由になる。店舗で扱うサービスが多様化することを見越して,全拠点の光化を目指した」(佐藤取締役)。

 これと同時に,システムの要となるデータ・センターを強化した。広域災害を想定した堅ろうな構成が必要だからだ。

 そこで同社は横浜・大阪の2カ所のセンターをセブン-イレブンとその他のグループ会社で並行利用するように設計。データ・センターに引き込む回線も,それぞれ完全に異なる経路を設けて2重化した。異なるNTT収容局から1本ずつ回線を引き込み,その引き込み口も「ビルの表側と裏側など,物理的に異なる場所から導入する」(佐藤取締役)という念の入れようである。

無線LAN端末活用で発注を効率化

 一方で,第6次システムではセブン-イレブン店舗内のネットワークにも手を入れた(図2)。セブン-イレブン・ジャパンの競争力は,売れ筋商品と死に筋商品を短期間で入れ替え,一つずつ商品がどう売れるのか,なぜ売れたのか仮説を立てて検証する「単品管理」が源泉となっている。

図2●セブン-イレブン店舗内のネットワーク構成<br>光回線を導入したことで通信インフラを一本化。本部から店舗に送る商品に関する情報に映像や画像をふんだんに活用し,売り場からも同様の情報を確認できるようにして,発注業務を効率化した。なお,銀行ATMなど金融系トラフィック以外はISDN回線をバックアップとして使える。
図2●セブン-イレブン店舗内のネットワーク構成
光回線を導入したことで通信インフラを一本化。本部から店舗に送る商品に関する情報に映像や画像をふんだんに活用し,売り場からも同様の情報を確認できるようにして,発注業務を効率化した。なお,銀行ATMなど金融系トラフィック以外はISDN回線をバックアップとして使える。
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写真1●発注用の携帯端末「GOT」
写真1●発注用の携帯端末「GOT」

 これを徹底するため同社は,組み込み機器用のWindows XPを搭載した新型の発注端末(GOT:graphic order terminal)を開発した。特徴は,グラフィカルなユーザー・インタフェースを持つ点と,無線LANに対応した携帯型とした点である(写真1)。

 売り場には無線LANアクセス・ポイントを設置。店内のどの位置からでも,GOTを使ってストア・コンピュータと同じように季節変動による商品単位の売れ行きといったセンターの情報を確認できるようにした。棚の前で実際に商品を確認しながら,画像情報で商品の特徴を理解し,必要なタイミングで商品を発注できるわけだ。

 こうしてデータの確認や発注のために店内とバックヤードを行き来する手間を省き,単品管理の精度を高めた。「単品管理に慣れていない店員のスキルを補うために,画面の解像度を上げて商品を鮮明に見せたり,関連する情報を参照しやすくするといった工夫を凝らした」(佐藤取締役)。