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 シン・クライアント化によるメリットは,店舗にデータを残さないことによるセキュリティ管理の強化と,ストア・コンピュータのメンテナンス費用の削減がある。単体の故障率が1万2000倍で効いてくる大規模ネットワークの場合,ネットワークの停止だけでなくハードウエア故障によるトラブルも頻発する。ハードウエアの故障は避けられない。だが,その要因をデータ・センターに集約すれば,データ・センター内で完全に2重化するなどリスクをコントロールしやすくなる。

 光IP網をベースにした第6次システムによって,「POSレジスタの情報をリアルタイムで収集することさえ無理なくできるようになった」(佐藤取締役)。次の段階としては,グループ全体のシステム運用負担の軽減を実現することを考えている。

ネットワークの進歩があってこそ,システムは進化
佐藤政行
佐藤政行
執行役員 システム企画部CVSシステムシニアオフィサー

 64kビット/秒のISDN回線を全国規模で導入した第4次システム(1991年),店舗へのコンテンツ配信用に衛星通信回線を導入した第5次システム(1997年),そして店舗の回線を光ファイバ化した第6次システム(2005年)──。セブン-イレブン・ジャパンのシステム刷新は,いずれもその時々に入手できる最新の通信手段の導入を伴っていた。むしろ,ネットワークの進化があったからこそシステムを変えられたと言ってもいい。

 商品マスターの更新やPOSデータの収集をスピードアップして,店舗での顧客サービスを充実。マルチメディア・コンテンツ配信という新しいサービスも始められた。そして,銀行ATMや電子マネーといった高い性能・信頼性が必要なサービスまで,一つのネットワークで実現できるようになった。

 ただ,ネットワークの高速化による変化はこれで一段落だろう。第6次システムでは,店舗周辺の世帯数や,その商圏にある駅や学校などの施設の影響まで踏まえて商品情報を分析して,単品管理を徹底している。システムで実現できることは,行き着くところまで行った感がある。

 ネットワーク性能の面からは,例えば各店舗のリアルタイム映像を監視することだってできる。POSデータをリアルタイムに回収することも十分可能だ。それでも,それが販売効率の向上に必ず貢献するとは限らない。その情報の使いこなし方がはっきりしていないと,人手,コスト,時間を無駄にかけてしまうことになる。実際,こうした配慮から,第6次システムの導入当初はPOSで収集した販売データを30分間隔でデータ・センター側に収集していたが,現在は1日に3回に改めた。こうした観点では,ネットワークはほぼ完成形に近付いたと考えている。

 今後は,情報収集の能力を高めることよりも,ネットワークを使って,システムの運用コストをいかに下げられるかを重視する。ネットワークの信頼性が今の10倍に高まれば考え方は大きく変わる。店舗側にデータを置かずに,センター側に集約して管理することが可能だ。こうしたニーズに応えるネットワーク・サービスの登場に期待している。(談)