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三つのポイント

(1)IP-VPNと広域イーサネットの併用で信頼性を確保

(2)セキュリティ・レベルの違いに応じてアクセス制御を駆使

(3)サーバーの増加にデータ・センターの拡張と仮想化の両面で対応

 キリンビールやメルシャン,キリンビバレッジなどをグループ傘下に抱え,酒類から飲料,食品,医薬品まで幅広く事業を展開するキリンホールディングス。連結売上高は約1兆8000億円,連結子会社は365社に及ぶ。

 このキリン・グループ全体のIT戦略の立案からシステムやネットワークの構築・運用管理までを担当しているのがキリンビジネスシステムである。同社は元々,キリンビールの情報システム子会社だったが,純粋持ち株会社体制に移行した2007年7月以降はグループ唯一の情報システム会社として全体のインフラを統轄している。

 目下のミッションは信頼性やセキュリティを確保しつつ,ビジネス環境の変化に合わせてインフラを柔軟に拡張できるようにすること。背景には,キリン・グループが2006年に打ち出した長期経営構想「キリン・グループ・ビジョン2015」(KV2015)がある。KV2015は,2015年に連結売上高と営業利益を倍増させるために既存事業の強化に加え,新規事業の開拓や国際化を積極的に推進するという戦略。これを契機に事業環境が激変している。

 2006年11月にはキリンビールとメルシャンが酒類事業で資本提携。大型のM&A(合併・買収)も積極的に進めており,2007年10月に協和発酵グループと医薬事業を中心とした戦略提携,同年11月にはオーストラリアの乳製品・果汁飲料会社ナショナルフーズの買収を発表した。こうした動きに合わせてシステムやネットワークのインフラもダイナミックに拡張していかなければならない。

IP-VPNと広域イーサを併用

 キリン・グループは現在,全国約500カ所の拠点をつなぐネットワークにNTTコミュニケーションズのIP-VPNサービス「Arcstar IP-VPN」を利用している(図1)。アクセス回線は本社や支店,研究所,営業所などの重要拠点がイーサネット専用線またはATM専用線,小規模拠点がNTT東西のBフレッツまたはフレッツ・ADSLである。

図1●キリン・グループのネットワーク構成<br>NTTコミュニケーションズのIP-VPNサービス「Arcstar IP-VPN」を利用しており,バックアップ回線にNTTPCコミュニケーションズの広域イーサネット・サービス「ブロードバンド・イーサ」を使っている。
図1●キリン・グループのネットワーク構成
NTTコミュニケーションズのIP-VPNサービス「Arcstar IP-VPN」を利用しており,バックアップ回線にNTTPCコミュニケーションズの広域イーサネット・サービス「ブロードバンド・イーサ」を使っている。
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 グループ各社が利用するサーバーは拠点のファイル・サーバーを除いて基本的にデータ・センターで集中管理している。このため,通信断は許されない。データ・センターは複数のアクセス回線を接続したうえで,アクセス回線のイーサネット専用線はNTTコミュニケーションズと電力系事業者の2系統に分けている。

 拠点側も支店や研究所,営業所はArcstar IP-VPNだけでなく,NTTPCコミュニケーションズの広域イーサネット・サービス「ブロードバンド・イーサ」を接続してバックアップ回線として利用している。アクセス回線はBフレッツまたはフレッツ・ADSLで,Arcstar IP-VPNの障害時に自動的に切り替える。一部の拠点はブロードバンド・イーサを併用せず,Arcstar IP-VPNのアクセス回線を冗長化している。

 大規模拠点はIP電話も導入済み。NTTコミュニケーションズのIPセントレックス・サービス「.Phone IP Centrex」を利用しており,VoIP(voice over IP)のトラフィックはデータ通信と共用させている。このため,Arcstar IP-VPNの優先制御機能を利用して音質を確保する。IP電話機の台数は内線番号による集計で約5600台ある。