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三つのポイント

(1)意思疎通の迅速化のためプレゼンスやボイス・メールを導入

(2)プレゼンスとIP電話を連携させクリック・トゥ・ダイヤルを実現

(3)本社の全フロアで業務を行えるように無線LANを配備

 エスエス製薬の前身である漢薬本舗は1765年に東京・八重洲で創業した。現在はドイツの製薬大手ベーリンガーインゲルハイムの傘下で,かぜ薬「エスタックイブ」や栄養ドリンク「エスカップ」など,一般消費者向けの製品に特化して事業を展開中だ。従業員数は2008年6月末時点で1018人である。

 製薬業界は再編などを伴う厳しい競争に直面している。その中でエスエス製薬はITを活用していかに業務のスピードを上げるかに重点を置く。そのためのツールを従業員へ提供するのが情報システム部門の役割の一つだ。

 2008年4月に本社を現在のビルへと移転した際に,様々なコミュニケーション・ツールや技術を採用。「プレゼンス」や「インスタント・メッセンジャ」(IM),「IP電話」,「無線LAN」などを導入・整備した(図1)。

図1●エスエス製薬新本社のLAN<br>全フロアで無線LANの利用が可能。実際はエッジ以外のスイッチはすべて2重化してある。
図1●エスエス製薬新本社のLAN
全フロアで無線LANの利用が可能。実際はエッジ以外のスイッチはすべて2重化してある。
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合計400人がプレゼンスを利用

 プレゼンスは在席情報などをネットワーク経由で他のユーザーへリアルタイムに伝達する機能である。例えばコンシューマ向けの「Windows Live Messenger」などはプレゼンス機能を備えており,既に多くのユーザーを獲得している。ただ,企業内での普及率は高くない

 だが,エスエス製薬は,「仕事のスピードを上げたい」(山本範明執行役員情報システム部長)との考えから,率先してプレゼンスを活用。本社では内勤180人,営業170人,千葉県成田市にある研究所「ライフサイエンスインスティチュート」では50人が利用する。プレゼンス機能を導入するため,同社はマイクロソフトのプレゼンス・サーバー「Office Communications Server」(OCS)とそのクライアント「Office Communicator」を採用した。

 マイクロソフト製品を選んだ理由は,同社がマイクロソフトの企業内ポータル・サイト・システム「SharePoint」を利用していたためである。同システムと連携できるプレゼンス製品が望ましいと考えた。加えて,「Word」や「Excel」などのOffice製品との連携が可能な点も評価した。

写真1●エスエス製薬情報システム本部ITサービスマネージメント部の井坂吉宏次長
写真1●エスエス製薬情報システム本部ITサービスマネージメント部の井坂吉宏次長

 プレゼンスの導入はスムーズだったという。「以前の本社ビルは5フロアだったが,新本社ビルは7フロア。オフィスが分割された感が強くなったこともあり,プレゼンスは有効に使われている。現場からは『便利だ』との声も聞こえてくる」(情報システム本部ITサービスマネージメント部の井坂吉宏次長,写真1)と説明する。

 エスエス製薬ではこれまでも一部の従業員がフリー・ソフトのIMである「IP Messenger」を使っていた。そのためIMの利便性を認識している従業員が多く,Office Communicatorも若い従業員を中心にすぐに使われ始めたという(写真2)。

写真2●「Office Communicator」の画面
写真2●「Office Communicator」の画面
企業向けのIMである。