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 全日本空輸は、顧客の声を改善提案に結びつける活動を強化する。2008年度(2009年3月期)末までに顧客や空港担当者など現場からの声を収集するデータベースにテキストマイニングツールを導入する。同社では顧客や担当者からの声は、2002年に設立したCS推進室に年間約6万件が集まる。CS推進室では12人の担当者全員がすべてに目を通しているが、テキストマイニングツールを使うことで、取組みの順位を決めたり、どういったキーワードの声が多いのかの判断が容易になると見込んでいる。当初はCS推進室の担当者だけが同ツールを使うが、効果を確認してから、将来的には全部署の顧客満足度に関わる担当者が利用可能にしていく考えだ。

 同社がテキストマイニングツール導入を決めた裏には、顧客の声を起点とする改善活動が現場で定着した自信がついたこともあるという。改善活動は1テーマにつき3カ月間が基本で、まず社員が気づいたことや接客中に顧客から言われたことをきっかけに現場が改善テーマを提起しイントラネットに登録する。1カ月間で部門内あるいは「専門部会」などで解決策を考える。専門部会とは、課題を解決するために必要な部門が集まるものだ。大がかりな投資が必要だったり、解決に時間が掛かりそうな案件は、CS担当役員が議長となる「CS推進会議」の議題に上げる。そして解決策を2カ月間で実施する。

 改善活動に6年間取り組んだ結果、複数の現場が協力して横断的に取り組む活動も定着し、推進会議で議論する案件はむしろ減ってきた。推進会議に上がる議題は2002年には195件あったが、2008年1月~9月までで11件にとどまっている。CS推進室の江島聖志主席部員は「件数の減少は、現場主体の解決力が強化された証拠。年間約100件の改善を実施できている」と話す。

 推進会議で議論した大きな改善事例としては、2008年10月から開始した「機内での座席移動」がある。機内はエコノミークラスといった提供サービスによる区分のほか、重量バランスを考慮してゾーン別に重量管理あって乗客の座る位置や貨物の位置を決めている。

 そのため、従来は、同じエコノミークラス間でも運航中に乗客がゾーンを越えた座席変更はできないルールになっていた。しかし「2007年秋ごろから急に声が目立つようになってきた」(CS推進室の小野隆氏)と話す。解決するには客室部門のほか、貨物や情報システム、運航部門など様々な部署が関わる。2008年2月のCS推進会議に提起し、8カ月かけて社内規定の変更や情報システムの変更などを行った。同年10月からは重量計算システムが算出した移動可能な座席数内で乗客が希望するゾーンに空席があれば移動できるなど顧客の声に柔軟に対応できる体制を整えた。テキストマイニングツールを導入することで、こうした「今は少数だがこれから増加しそう」といった問題の早期発見にも役立てたい考えだ。

■変更履歴
最終段落で「空席があれば座席移動できる」としておりましたが、正確には「重量計算システムが算出した移動可能な座席数内で乗客が希望するゾーンに空席があれば移動できる」です。本文は修正済みです。[2009/01/19 11:40]