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 住友商事はネットスーパーの事業会社、住商ネットスーパー(東京都渋谷区)を2008年12月に設立した。2009年10月の事業開始に向けて、受発注や物流用のシステム開発を進めている。まず子会社のスーパー「サミット」と提携し、ネット販売専用の配送センターなどを設置。各センターから直接、注文した顧客宅へ商品を配送する「センター出荷型」のモデルで参入する。その後、サミット以外にも提携先のスーパーを増やしていく方針だ。

 ネットスーパーは生鮮品を含む食料品や日用雑貨などをインターネット経由で受注し、当日または翌日までに顧客宅に配送する事業。最近になってイトーヨーカ堂や西友などの大手スーパーが事業範囲を拡大するなど、成長が見込まれている。現状では既存店舗の店頭に並ぶ商品を従業員がピックアップして出荷する「店舗出荷型」が主流で、イトーヨーカ堂や西友もこのタイプ(関連記事)。住友商事のようなセンター出荷型は珍しい。

 住友商事がセンター出荷型を採用するのは「店舗出荷型では成長性に乏しい」(有澤寛ライフスタイル・リテイル事業本部本部長付兼リテイル&ウエルネス事業部副部長)と見ているからだ。同社は2007年4月からサミットと店舗出荷型の事業を試験的に展開。売り上げは順調に伸びており、注文1回当たりの平均客単価も6000円以上と堅調だが、いくつかの課題も明らかになった。

 その1つは、バックヤードや駐車場などのスペースが限られるため、各店舗が処理できる1日当たりの受注件数が200件程度に制限される点だ。雨天の日には午前9時時点で1日分の注文が集まり、残りの注文は断っている。こうした事情から、各店舗のネットスーパー分の売り上げは店頭での売り上げの5%程度にとどまっている。「数十店舗で展開しても年商は30億~40億円程度と、1店舗相当分にしかならない」(有澤氏)

 もう1つの課題は欠品の頻度が多いことだ。特売商品などの場合、午後の早い時間帯には売り切れることが多い。その結果、顧客が1回に注文する平均20~25点の商品のうち1点でも欠品していたケースの発生頻度を調べたところ、20%にも達していたという。たとえ1点の欠品でも、顧客の満足度を損ねかねない。

 センター出荷型であれば、大型のセンターを用意することで店舗スペースや在庫量などの制約を解消できる。半面、センターの設置費用や、受発注と物流などの情報システムを開発する投資がかさむため、リスクは高い。

 そこで、提携先スーパー各社が共通して開発する必要がある情報システムなどのインフラ整備は住商ネットスーパーが請け負い、提携先は投資リスクを抑えながらセンター出荷型でネットスーパーに取り組めるようにした。

 サミットを例に取ると、生鮮品以外の商品を保管する在庫配送センターを半径8キロ圏ごとに1カ所設置。さらに在庫配送センター6カ所ごとに生鮮品向けの生鮮加工センターを1カ所設置し、合計7カ所のセンターを1ユニットとする。このユニットを運営する「ユニット会社」を住商ネットスーパーとサミットが共同で設立する計画だ。

 1つのセンターが対応する受注件数は1日当たり1200~1800件程度と想定する。サミットの店舗出荷型のネットスーパーと同規模の売り上げを想定すると、1センター当たりの年商は30億円規模になる。有澤氏は「将来的には首都圏の食品配達事業の市場規模は1兆円まで拡大する余地がある」と予想し、住商ネットスーパーの事業で1000億円の売り上げを目指す考えだ。