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浪速運送が運営する日本最大のハンガー衣料センター。ここに、ヨーカ堂の改善担当者が常駐する
浪速運送が運営する日本最大のハンガー衣料センター。ここに、ヨーカ堂の改善担当者が常駐する
(写真撮影:北山 宏一)
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 衣料品物流に強みを持つことで知られる浪速運送(大阪市)が、最大級の取引先であるイトーヨーカ堂の力を借りながら物流センターの業務改善を進めている。同社によれば、衣料品を畳むこと無くハンガーにつるした状態で在庫管理し、その状態でトラック輸送する「ハンガー物流」で約80%の国内シェアを握るという。

 ヨーカ堂との改善活動は2008年7月に開始した。当面の舞台はハンガーレーンの全長が26kmにも及ぶ「東京センター」。約150万着もの衣料品を在庫している。作業員の頭上をビニール袋に入った衣料品が引っ切り無しに動き回る「日本最大の洋服ダンス」のような物流拠点だ。出荷指示が来ると在庫がレーンに沿って動き、自動ソーターで店別に仕分けされ、ハンガー輸送対応のトラック内につるされ、全国の店舗に運ばれる。

 この東京センターで、店着遅れを無くす活動に取り組んでいる。これまでの同センターのヨーカ堂向け出荷能力は、1日7万5000着ほどが限界だった。それを1日10万着、店着遅れなしに遂行できるようにする目標である。2009年3月に控える現場報告会で目標に少しでも近い成果をアピールする考えだ。

ヨーカ堂が得意な単品管理とトヨタ流を融合

 ヨーカ堂は東京センターに現在、改善担当者を2人、常駐させている。内部が迷路のように入り組んだ東京センターの業務効率を上げるため、店舗改善で効果を実証済みなトヨタ流の改善手法を伝授する。改善担当者の人件費はヨーカ堂の持ち出しだ。浪速運送の東宏剛代表取締役社長は「ヨーカ堂の改善担当者が東京センターに常駐してくれることは本当にありがたい」と語る。

 ハンガー物流のガリバー企業である浪速運送はヨーカ堂だけでなく、ほとんどの総合スーパーや大手百貨店と、さらに高級ブランドショップやセレクトショップとも取引がある。だがヨーカ堂は浪速運送に「ヨーカ堂から学んだ改善ノウハウを競合他社も利用する東京センター全体に適用してもらって構わない」と伝えている。ヨーカ堂向けの店着遅れを無くすことは、それほどメリットが大きい。

 ハンガーにつるされた衣料品在庫が150万着もあると、センターのどこに在庫を保管するかによって、入出荷の作業効率は大きく変わる。約150万着のうち、ヨーカ堂向けの在庫だけでも80万~90万着はある。

 改善活動が本格化した2008年8月からしばらくはちょうど、東京センターは1年で最大の繁忙期を迎えていた。衣料品が夏物から秋・冬物に入れ替わる時期である。冬物衣料は一つひとつに厚みがあるので、センター内が大量の在庫でギュウギュウ詰めになり、ますますセンター作業は効率が落ちる。実際に、ヨーカ堂向けの衣料品配送では店着遅れを引き起こした日もあった。

 そこでヨーカ堂の常駐担当者が現地調査した。そして、同じ単品を複数の場所に離れて保管する「フリーロケーション」での在庫管理には改善の余地があることを指摘したり、出荷数に応じた適正な人員配置を一緒になって割り出したりした。

 このように、ヨーカ堂が得意な単品管理とトヨタ流を融合しつつ、店着遅れがない出荷体制の確立に取り組んでいる(関連記事)。