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 サントリーは、SCM(サプライチェーン・マネジメント)の強化で、2008年12月期に約130億円のコスト削減を達成した。SCMの強化内容は多岐にわたり、原材料の買い付け先の変更、生産ラインの効率化、海上輸送・鉄道輸送への切り替えなどだが、新機軸として打ち出したのがキリングループとの共同調達や共同配送など競合との業務提携だ。寺澤一彦専務取締役は「営業では競い合うが、共同物流や共同調達などSCMの分野で競合と手を組める領域はもっとある」と提携拡大に意欲を見せる。

 サントリーやキリンがSCMで手を組むのは、そこまでしなければ原材料や包材費の高騰に対処できないからだ。商品価格へのコスト転嫁は難しい。また、共同配送にはトラックの運行数削減による二酸化炭素(CO2)排出量の削減効果もある。

 2009年2月3日に発表したサントリーの2008年12月期連結決算は、売上高が対前年度比1.2%増の1兆5130億円、営業利益が同8.0%増の813億円、当期純利益は同33.2%増の321億円。売上高と純利益は過去最高額を更新した。経営環境は決して順風満帆ではなく、麦芽やアルミなどの原材料・包材費の高騰でも約150億円のマイナス要因があった。「ザ・プレミアム・モルツ」がヒットしたビール事業が1963年の参入以来初の黒字になり約30億円の営業利益を生んだプラス材料もあったが、SCMで130億円を削減した効果が大きかった。

 競合との共同物流まで踏み込み始めたのは2007年からだ。キリンビールと2007年10月に、ビールのアルミ缶のフタの規格共通化で合意し、さらにビール缶を入れるダンボールの原紙の共同調達をスタート。2008年秋からは和歌山県の一部地域において、キリンビバレッジと清涼飲料の共同配送を始め、2009年7月に千葉県でも同様の取り組みを始める。サントリーが委託する物流拠点にキリンビバレッジの商品を集約し、同じトラックに商品を積んで卸や小売りに運ぶ。

 サントリーによれば、キリングループとの共同調達や共同物流による2008年12月期のコスト削減額はまだ年間数億円規模という。だが、業務提携を拡大する余地は大きい。サントリーのSCM推進部が、ビールやウィスキーを扱う酒類カンパニーや、清涼飲料や健康食品を扱う食品カンパニーなど事業部門と協議しながら、競合との提携策を模索している。

 ビール業界ではサントリー以外も、共同物流に前向きになっている。2008年5月にサッポロビールとキリンビールが共同物流を開始、2008年12月にはサントリーを含むビール大手4社が工場などからの商品出荷時に使うパレットの回収促進に共同で取り組み始め、4社合計で年間約3億円のコスト削減効果を見込んでいる。

 それだけに、2009年にさらに踏み込んだSCMの業務提携が実現する可能性は大きい。サントリーは2009年12月期に「SCM活動の強化で約60億円のコスト削減を狙う」(寺澤専務)。全社では売上高が1兆5550億円、営業利益が820億円と引き続き増収増益を目標に掲げている。