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 ヤマハ発動機が独自の「部品追跡システム」を利用して、グローバルでの物流コストと適正在庫の見直しを始めている。国際物流では輸送会社が複数にまたがることも珍しくないが、2007年10月に北米で部品追跡システムが稼働して以降、物流コストがどこでいくらかかったのかや、指定日までに部品がきちんと搬送されていたかといった情報も蓄積できるようになった。そうした情報を使って輸送会社と改めて交渉することで「物流コストの削減を図りやすくなってきた」と、部品事業部SCM部市場在庫グループリーダーの大西尚主査は話す。

 同社は二輪車のガソリンタンクといった出荷頻度が低い補修部品を、静岡県にある倉庫「グローバルパーツセンター」で一元管理している。一方、オイルフィルターといった出荷頻度が高い部品は全世界の地域ごとに複数の倉庫を設置して、そこに在庫を置き、各地の販売会社に出荷している。低頻度の部品は受注後に航空便で世界各地に配送しているが、船便に比べて物流コストが8倍もかかる。在庫の持ち方や物流のコスト構造の見直しが急務になった。そこにヤマハ発動機は部品追跡システムを使うことにしたのだ。

 今後、北米以外の地域でも部品追跡システムが稼働すれば、北米と同様に物流コストと適正在庫の見直しに活用できる。世界規模での在庫・物流管理を徹底していく。

配送中の部品がどこにあるか一目で分かる

 ヤマハ発動機は2007年10月から、海外に配送した部品が現在どこまで移動したのかを正確につかむ環境整備を進めてきた。国内配送と同じように海外の販売会社への配送でも、途中の通過状況が逐一分かるように部品追跡システムを構築。まずは、受注後3日以内に日本から現地まで航空便で部品を送り届ける北米で導入した実績がある。

 この部品追跡システムは、GXS(東京・港)の荷物追跡サービス「GXS Trading Grid Logistics Visibility」を使って構築した。今後、ヤマハ発動機は中南米やシンガポールをはじめとしたアジアにも同様の仕組みを導入する予定である。

 部品追跡システムを構築したことで、ヤマハ発動機の営業担当者は工場出荷や船積み、陸揚げ、通関といった部品の通過状況をすぐに把握できるようになり、販売会社からの問い合わせ対応を軽減できるようになった。物流コストの見える化も進んだ。しかも、「船便が遅れていれば、航空便に切り替えるといった判断もできるようになった」(部品事業部事業企画部システム・流通企画グループの伊藤勤主務)。

 将来的には出荷部品だけでなく、グローバルパーツセンターに入荷する海外からの仕入れ部品についても、部品追跡システムの対象範囲にする予定だ。例えば、ヤマハ発動機は原付二輪車の部品を台湾から仕入れるなど、海外からの部品購入比率が約10%ある。仕入れ先がある地域にも部品追跡システムを導入することで、販売会社への納期回答をより正確なものにしていく。