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アクタスの休山昭(きゅうやまあきら)代表取締役CEO

 家具やインテリア小物を主に北欧やイタリアから輸入販売する1969年創業のアクタス(東京都新宿区)は、商品選定や店舗作り、接客などにおける「センスの良さ」と「親しみやすさ」というブランドイメージを強化させることを決めた。これは2008年9月に就任した休山昭(きゅうやまあきら)代表取締役CEO(最高経営責任者)による企業改革の第1歩になる。同氏は実に30年以上ぶりの生え抜き社長だ。

 投資会社アドバンテッジパートナーズの傘下だった時代も、その前のミネベアが100%出資していた時代も、経営トップには社外の人材が就任してきた。しかし、アドバンテッジパートナーズから株式を取得して2006年に親会社となったコクヨグループ経営陣から「生え抜きの経営トップの手で、従業員の会社に対する高いロイヤルティーを確立してほしい」との期待を受けて休山氏が就任した。アクタスらしさを追求していくことが最善の企業強化策と考えたわけである。

 この10年ほどの間に競合が増え、アクタスは差異化を打ち出す必要があった。休山CEOは2008年9月の就任早々に、ニトリやイケア(スウェーデン)、「フランフラン」のバルス、大塚家具、「ザ・コンランショップ」のリビング・デザインセンター(東京都新宿区)、カッシーナ・イクスシーなど強豪がひしめく国内家具販売市場での自社の強みを検証するプロジェクトチームを結成。2008年11月に消費者意識を調査したところ、約20のブランドイメージ項目のうち「センスの良さ」と「親しみやすさ」の2点が両方とも突出した企業はアクタスしかないことが分かった。

 誰にも分かりやすい「安さ」を武器にするニトリやイケアと比べると、アクタスは顧客に何を訴求すべきなのかについて、従業員の間で意識統一が十分でない課題があった。今回打ち出した「センスの良さ」と「親しみやすさ」を強化させるには、「一人ひとりのスタッフがアクタスブランドの表現者であり、目の前のお客様のための活動を最優先すべきだ」と全従業員に再認識してもらう必要もある。そこで休山CEOは、前述のブランディングプロジェクトチームと同じ2008年9月に全部で5つ立ち上げた部門横断型の改革プロジェクトチームの活動に頻繁に参加するようにして、計数十人のメンバーにこのブランド戦略の重要性を伝え始めた。今後は、店舗などの現場にも直接説明していく意向だ。

 今回打ち出したブランド戦略に沿った販売促進策の1つが、2009年8月ごろに発売する計画の「ACTUS LIFE 40周年記念号」という書籍だ。2009年で創立40年を迎えるアクタスには、子供に学習机やベッドなどを買ってあげようと再来店する親の世代の顧客がここ数年、増えてきたという。そこでアクタス製品とともに暮らす多数の家庭を訪問・取材して、書籍で豊富な写真と一緒に紹介する。「こうした書籍は、40年にもわたってセンスの良さを心がけ、また、お客様との絆を大切にしてきた当社にしか作れない。5年、10年、25年など様々な年数にわたってアクタス製品を使ってくださっているお客様を取材する」と休山CEOは狙いを説明する。ウェブサイト上でも、2009年1月から、アクタス製品のある子供部屋の写真を投稿するサイト「ACTUS KIDS TOWN」を開設した。

 しゃれた家具を好む「親子」をターゲットとした子供向け商品の拡充や、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の強化も進める。顧客と長い関係を築くためのさらなる強化策を、部門横断型のCRMプロジェクトチームが考案中だ。

 また、DNA of ACTUSチームがブランディングチームと合流して、同社のOBやOGに取材などしながら社内向けヒストリーブックの作成を進めている。創業以来大切にしてきた価値観や、アクタスらしさを全従業員に再認識してもらうためだ。「40年前から欧州のモダンインテリアを日本で初めて大々的に輸入してきた誇りと自信を、若いスタッフにも持ってもらい楽しく働いてほしい」と休山CEOは話す。

 アクタスは全国の主要都市を中心に17の直営店を持つ。年商100億円前後の時代が長かったが、アドバンテッジパートナーズの傘下に入った2001年以降に店舗数を増やし、2008年2月期には160億円に到達した。国内最大手のニトリの2172億円の約14分の1とはいえ、アクタス店舗には年間1000万人もの来客がある。「当社は半数のお客様がリピーター。これは『家具は一生ものです』と言って売ってきた旧来の家具販売店ではめずらしいこと」と、アクタスの大重亨執行役員マーケティング部長は説明する。

 アクタスの2008年2月期は、売上高160億円で対前年度比約9%の増収だったにもかかわらず、2億6000万円の営業損失を記録した。これは事業範囲の急拡大に伴う賃料や人件費の上昇が要因である。コクヨと決算期を合わせた2008年12月期(10カ月間の変則決算)は、2006~2007年に出店した新規店舗が軌道に乗り、販売管理費を徹底的に見直した効果もあって数億円の営業黒字となった模様だ。