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三つのポイント

(1)最小限の機能から導入し,億単位の見積もりを数分の1に

(2)運用を変えずにシステムの機能をプラスしていく

(3)IPだけにこだわらず,デジタルPBXを併用して顧客対応を強化

 旅行業は平和産業であり,健康産業であり,コミュニケーション産業でもある──。大手旅行業者であるエイチ・アイ・エスの創業者で,現・取締役会長の澤田秀雄氏は同社のWebサイトでこう語っている。同社のコール・センターは,旅行業が“コミュニケーション産業”であることを体現している部署の一つだと言える。

 エイチ・アイ・エスは,旅行キャンペーン商品をテレビCMなどを通して大々的に宣伝。コール・センターは,テレビCMを見た顧客の最初のコンタクト先となる重要な役割を担う。

テレビCMで集中呼が発生

 エイチ・アイ・エスは2007年8月,東京・西新宿のコール・センターの効率化を目指し,電話システムを刷新した。現在,刷新から1年半が経過し,その効果が見え始めた。「総合的に約20%の(顧客対応の処理などの)効率アップを実現した」(本社情報システム本部システム開発グループの藤田時治グループリーダー)という。

 この20%の効率アップは非常に大きな意味を持つ。同社のテレビCMで告知される受付開始日時には,大量の電話がコール・センターにかかってくるからだ。2009年1月5日午前10時から受付を開始した年明け最初の「初夢フェア」の場合,東京・新宿のコール・センターが「開始から1秒しないうちに161回線すべてがうまった」(同本部・情報システム開発グループ・基幹システムチームの蒲谷哲郎副主任)という。

 さらに約170人(2009年1月時点)のオペレータが実際に応対した件数は,1月5日だけで約9900件。そのほかのキャンペーンでも応対件数は「5000件を超える」(同本部・情報システム開発グループ・基幹システムチームの塚田真之営業支援担当リーダー)状況だ。単純な比較はできないが,この件数は「同業他社のコール・センターと比べてもかなり多い」(システム・インテグレーションを担当した日立コミュニケーションテクノロジー)という。

写真1●情報システムの開発スタッフ
写真1●情報システムの開発スタッフ
本社情報システム本部情報システム開発グループ システム管理チームの山本重次郎チームリーダー(中),同基幹システムチームの塚田真之営業支援担当リーダー(左),同チームの蒲谷哲郎副主任(右)。

 大量かつ集中する呼を効率的に処理するのが,デジタルPBXとSIPサーバーを組み合わせた電話システムである(図1)。一般にコール・センターは,規模や機能などを勘案してCTIパッケージを一括導入するケースが多い。だが,同社はこうしたアプローチを取らなかった。情報システム開発グループ・システム管理チームの山本重次郎チームリーダー(写真1)は,「ミニマムで導入して,その後で必要となった機能を追加していった。最初から(CTIパッケージなどの)“箱や仕組みを使いこなそう”ではなく,我々の運用スタイルにシステムをできるだけ合わせる形で導入した」と説明する。

図1●エイチ・アイ・エスの西新宿コール・センターの電話システムの概要<br>「コール・センター」との名称を使うが,一般のコール・センターとは異なり,各オペレータは予約受付だけでなく,ユーザーが旅行に出発するまでの手続きをワン・ストップで担う。こうした業務に合わせるため,コール・センター向けパッケージではなく,デジタルPBXとSIPサーバーを組み合わせたシステムを導入した。
図1●エイチ・アイ・エスの西新宿コール・センターの電話システムの概要
「コール・センター」との名称を使うが,一般のコール・センターとは異なり,各オペレータは予約受付だけでなく,ユーザーが旅行に出発するまでの手続きをワン・ストップで担う。こうした業務に合わせるため,コール・センター向けパッケージではなく,デジタルPBXとSIPサーバーを組み合わせたシステムを導入した。
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 こうした考えの下,新システムを導入。2種類の電話システムを並存させるに至った主な理由は次の2点に集約できる。(1)“機会損失”の削減,(2)オペレータ業務の円滑化──である。