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サーバーはデータ・センターに集約

 サーバー・ルーム・レスは新本社ビルの特徴の一つである。WANサービスの高速化によって可能になった。

 各ビルがそれぞれサーバー・ルームを持つよりも,外部のデータ・センターで各種サーバーを集中運用する方が管理コストやサーバー冷却効率などの面で有利である。ビル内のオフィス・スペースを,より広く取れるメリットもあった。「昔はサーバー・ルームのあるビルが最先端だった。現在はサーバー・ルーム・レスが最先端」(松田部長)だ。ルーターやスイッチなどのネットワーク機器と一部の制御装置を除き,ほとんどのサーバーは外部のデータ・センターに集約している(図1)。

図1●IPネットワークに様々な機器をつなげる鹿島本社ビルと鹿島赤坂別館<br>従来,4系統に分かれていた社内ネットワークをIPで統合した。
図1●IPネットワークに様々な機器をつなげる鹿島本社ビルと鹿島赤坂別館
従来,4系統に分かれていた社内ネットワークをIPで統合した。
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 この際に必要だったのが,社内ネットワークの「フルIP化」である。IP化によって外部のデータ・センターとビル内の機器が簡単に通信できるようになった。以前のビルでは複数の技術を使ったネットワークを利用していた。ネットワークは,(1)イーサネットを使った情報システム用のLAN,(2)アナログ内線電話,(3)監視カメラの同軸ケーブル,(4)制御機器がつながるシリアル通信と,4系統に分かれていた。

 この4系統のネットワークを新本社ビルでは,「B・OAネット・システム」と名付けた1系統のIPネットワークにまとめた。ビルの各フロアのLANがつながる垂直方向に伸びた基幹系LANは2重化したが,従来の4種類のケーブルを使う配線はイーサネットを使う1系統のLANに集約。ネットワークの配線コストや管理コストを大幅に抑制できたという(図2)。

図2●IP統合で配線・管理コストが下がった
図2●IP統合で配線・管理コストが下がった
従来4系統あったネットワークを1系統に集約。データの種類ごとにVLANを設定。VLANの個数は25個に及ぶ。

VLANで音声とデータを分ける

写真1●鹿島 ITソリューション部情報基盤第二グループの小笠原充匡グループ長
写真1●鹿島 ITソリューション部情報基盤第二グループの小笠原充匡グループ長

 ただし,ネットワークの集約によって「VLANや優先制御の設定など,以前より複雑になった部分はある」(鹿島の小笠原充匡ITソリューション部情報基盤第二グループ長,写真1)のも事実であるという。1系統のネットワークにパソコンのデータ通信やIP電話の音声,ネットワーク・カメラの映像,センサー情報など,サイズやトラフィック・パターンの異なる複数種類のデータを載せなくてはならないからだ。

 例えば,パソコンのデータ通信はデータ量は多いが送信に多少の遅延が生じても大きな問題は起こらない。一方でIP電話の音声は,データ量こそ少ないものの,遅延が少しでもあると音声の途切れが発生するといった特徴を持っている。

 B・OAネット・システムでは,データの種類やアプリケーションごとに25個ものVLANを設定した。そのうち,IP電話用のVLANには優先制御をかけて通話品質の劣化を防いでいる。