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3網とインターネットでWAN構築

 最新の新本社ビルがつながるのは大規模なWANである。国内外に多数の支店や営業所を持つ鹿島は三つの閉域網サービスと,IPsecを使うインターネットVPNを利用して拠点間通信を実現している(図3)。WANに接続されている国内拠点は計1200カ所,海外拠点は米国やシンガポール,英国など計50カ所にも及ぶ。

図3●鹿島のWAN構成図<br>音声用WANとデータ用WANが相互にバックアップする。
図3●鹿島のWAN構成図
音声用WANとデータ用WANが相互にバックアップする。
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 閉域網サービスの一つは“音声用”で,IP電話の音声データが流れる広域イーサネット・サービスの「KDDI Powered Ethernet」を使う。ここには,新本社ビルなど「本社圏」と呼ぶ首都圏の主要拠点,全国の支店,機械技術センターなどがつながる。東京都調布市にある技術研究所はIP電話機は未導入だが,VoIPゲートウエイを導入して拠点間の内線をVoIP化。そのため,同広域イーサネットを利用している。

 残り二つの閉域網サービスは“データ用”だ。データ用は(1)多くのデータが飛び交う本社圏間と,(2)それ以外,で分割した。(1)はNTTコミュニケーションズの広域イーサネット・サービス「e-VLAN」を,(2)は同IP-VPNサービス「Arcstar IP-VPN」を利用する。

 拠点間を流れるデータは,導入しているグループウエア「Microsoft Exchange」や基幹系システム,CADのデータなどである。基幹系システムはほぼWeb化しているので,データはHTTPで送受信する。CADデータは主にファイル共有プロトコルでやり取りする。ただし,「頻繁にCADデータがWANを行き来することはない」(松田部長)という。

 各拠点では,音声用とデータ用のWANが相互にバックアップする設定を施した。例えば,音声用WANへのアクセス回線に障害が発生した場合,音声データはデータ用WANに流れる。WANの切り替えは,「ユーザーが気付かないくらい瞬間的に実施される」(小笠原グループ長)。障害時でもIP電話の通話品質を保つために,WANに向かうスイッチには音声パケットの優先制御を設定している。

工事事務所はフレッツを活用

 国内の建築現場に一時的に置かれる工事事務所では,主にNTT東西のBフレッツやフレッツADSLをアクセス回線に利用している。ただし,フレッツが使えない場所では専用線の「DA」(ディジタルアクセス)を,DAすら利用できない場所ではNTTコミュニケーションズが提供するモバイル・リモート・アクセス「MOVE」を使い,WANに接続する。

 鹿島では新本社ビルの完成で,IT投資は一巡した状態だという。今後はより低料金のアクセス回線への変更など,コスト・パフォーマンスを重視したIT施策を考えているとしている。