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写真●2009年3月期決算について説明する小林製薬の小林豊・代表取締役社長
写真●2009年3月期決算について説明する小林製薬の小林豊・代表取締役社長
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 小林製薬は2009年5月8日に東京都内で実施した2009年3月期(2008年度)決算説明会の席上において、同年度のコスト削減活動の成果を発表した。特に成果が顕著だったのは棚卸評価廃棄損の削減活動。同年度の廃棄損は22億円で、前期の43億円からほぼ半減。過去6年間で最少の金額となった。

 小林豊・代表取締役社長は、「SCM(サプライチェーン・マネジメント)部門が製造部門と販売部門の調整を強化する役割を果たし、大幅な廃棄損の削減に成功した」と説明した。この削減額は、小林製薬の主力ブランドの1つである芳香剤「サワデー」の売上高(約21億円)に匹敵する。

 廃棄損は2008年3月期まで4期連続で増加し、大きな経営課題になっていた。主な要因は製品の返品で、小林製薬が作りすぎた製品を、取引先であるスーパーやドラッグストアなどの店頭で売り切れないことにあった。

テスト販売で新製品の需要予測を徹底

 小林社長によれば、返品削減は3つのアプローチで取り組んだ。1つ目は「量販テスト」と呼ぶ独自のテスト販売手法の確立による、新製品の返品削減だ(関連記事)。量販テストとは、新製品投入前に小売店の棚を借りて、実際に一定期間陳列・販売しデータを取得する手法。自社の既存商品や他社の競合商品と並べた現実の売り場に近い状況でテスト販売し、POS(販売時点情報管理)データを収集する。「従来は新製品の生産量は担当者の勘で決めていた」(小林社長)。これを改め、小売店と連携して得たテスト販売結果を基に新製品の需要予測を行い、品切れしない適正な生産量をはじき出すようにした。

 2つ目は季節製品の“見切り”の強化だ。小林製薬は花粉症や風邪などに関連した季節製品を多く抱える。こうした製品は、花粉の飛散が止まるなどした途端に売れなくなるため、返品の山に直結していた。そこで、多少売り逃しのリスクがあっても「これぐらい売ったらもういい、というラインを決めた」(小林社長)。例えば、花粉を取り除く効能のある目の洗浄剤「アイボンAL」の場合は花粉の飛散動向と日々の店頭商品回転率の両方を勘案し販売のピークを見極めて早期に“撤収”し、返品数を抑えることに成功したという。

 3つ目が、返品されて戻ってきた製品のうち、再生できる素材をリサイクルして再製品化する取り組みの強化だった。

 今回の決算説明会で、会場からはやはり豚インフルエンザから変異した新型インフルエンザに関する質問が飛んだ。小林社長は「当社のマスク(のどぬ~るぬれマスク)はウイルスカットというコンセプトの商品ではないが、『とにかくマスクが欲しい』というニーズをとらえて売れている。店頭からなくなっている状態だが、(あくまで冬場の風邪対策の季節製品であるため)製造量は抑えている。(インフルエンザに対応したマスクの)新製品についてはいろいろ検討しているところだ」と語った。