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 約6000人もの運転手を擁するタクシー大手の国際自動車(東京都港区)は、全従業員のメンタルヘルス(心の健康)対策に本格的に乗り出している。昨年11月以降、計200人の役員や管理職を対象にした研修、休業中の社員向けのカウンセリングサービスなどを矢継ぎ早に導入してきた。同社のメンタルヘルス対策は予防と早期発見・回復に重点を置いている。従業員の健康管理を強化すると同時に医療費コストの削減につなげたい考えだ。タクシー業界でこれほどの規模でメンタルヘルス対策を実地するのは例が無いという。

 現在、全国の健康保険組合のうち9割以上が、高齢者医療への拠出金が大幅に増えることによって赤字と見られている。国際自動車の健保組合も例外ではなく、2008年3月期から経常収支が赤字に落ち込んだ。同社健保組合では病気にかかってからの事後的な治療よりも予防や初期段階での早期発見・回復に主眼を置く方針を打ち出した。国際自動車健康保険組合の萩原栄二事務長はメンタルヘルスについての基礎知識を従業員に授ける研修を検討した。ところが、開催は困難だと判断した経緯がある。グループ全体の乗務員6000人は勤務時間の大半を車内で過ごすのに加えて勤務時間帯がバラバラであるため、多くの乗務員を一度に集めて研修を開催することは難しいからだ。

 そこで、まずは2008年11~12月に本社およびグループ会社の役員、管理職など計200人を対象に研修を始めたのである。「実際の労務管理に携わる管理職にメンタルヘルスについて詳しく知ってもらうことによって、組織全体への浸透を図ることを狙った」と萩原事務長は話す。さらに今年2月から、本社で週1回の頻度で専門のカウンセラーを招き、メンタルヘルス不全によって休業中の従業員へのカウンセリングサービスを提供している。

 同社が予防や早期回復に力を入れているのはメンタルヘルスだけではない。糖尿病対策のために各事業所に保健師を派遣したり、運動不足の乗務員に万歩計を渡したりするなど保健指導にも力を入れていく予定だ。今回の取り組みでは、国際自動車本社と同社健保組合、ベンチャー企業のクロスフォーメーション(東京都港区)が協力して研修やカウンセリングの体制を整えた。