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 スタッフサービス(東京都千代田区)はIT(情報技術)活用によってエンジニア社員の勤怠管理と給与計算業務を改善している。同社のエンジニア社員は、常時雇用の特定派遣労働者に該当する。特定派遣労働者は働いた日数分の給与をもらう日給月給制であるため、月給制の一般派遣と異なって給与計算は複雑で表計算ソフトを用いた手作業になっていた。2009年8月からは、1カ月のうち異なる派遣先で働くなどの複雑な勤務形態の社員の給与も自動計算できるようにする。

 スタッフサービスがエンジニアリング事業本部を立ち上げて、技術者を正社員として雇用してメーカーなどに派遣し始めたのは2004年4月。東京都と愛知県での試験運用を経て全国展開に乗り出したのは2006年4月だ。当時からタイムカードでの管理にそぐわないエンジニア社員の勤怠状況の把握は課題だった。エンジニアリング事業本部営業管理部の山川修平ゼネラルマネージャーは「エンジニア社員は派遣先企業に行かない日は、スタッフサービスに出勤することになる。両職場での給与は違うのに同じタイムカードで管理しようとすればどうしても無理が生じていた」と振り返る。派遣先での日給の計算方式は企業とスタッフサービスの間での契約内容で決まる。残業代の計算なども細かく異なるので出勤の日数や時間から一律に算出できない。

 そこで、2006年10月から派遣先との契約内容の詳細をあらかじめ入力しておけば、給与を自動的に計算できる情報システムの構築を検討し始めた。エンジニアリング事業本部の営業管理部が業務要件をまとめて、情報システム部がシステム要件を定義した。2007年4月に住商情報システム(東京都中央区)の協力を受けて同社開発の「SHARE/OTM Web勤怠管理システム」をベースにした「ウェブタイムカードシステム」を自社向けに稼働させた。翌2008年11月以降は派遣先企業も利用している。

 派遣先企業はウェブ画面でリアルタイムに勤怠状況を確認できるようになった。一方、エンジニア社員はパソコンや携帯電話から出退勤の入力ができるようになり利便性が増した。スタッフサービス側はタイムカードを廃止したことで印刷や発送の費用が大幅に削減できた。手書きのタイムカードのチェック業務などもなくせた。

 急激な市況の悪化を受けて、2009年3月のエンジニア社員数は前年度比33%減の2977人になるなど、製造業向けエンジニア派遣事業には向かい風が吹いている。派遣先企業やエンジニア社員から見た利便性を改善する今回の取り組みを同事業の強化につなげたい考えだ。