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選択と集中を徹底

 こうした業態変化に合わせ,現在の千趣会のネットワーク(図2)が構築された。現在のネットワークのポイントは,「業務の重要度に合わせてネットワークを使い分けている」(業務本部情報システム部高田拓治部長)点だ。

図2●千趣会のネットワーク構成図
図2●千趣会のネットワーク構成図<br>主要専用網を2重化するとともに,インターネットと基幹データ・センターのつなぎこみも2重化している。
主要専用網を2重化するとともに,インターネットと基幹データ・センターのつなぎこみも2重化している。
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 千趣会が扱う主なデータは,社内情報(経理や事務,営業,仕入れなど),取引先企業(メーカー,運送業者,印刷業者など)との情報,顧客と直接取引する受注,配送にかかわる情報──の3種類に分類できる。

 同社のデータ・センターは3拠点あり,社内情報および取引先との情報,顧客情報の二つに大別して運用・管理・保守している。

 このうち社内情報と取引先との情報は,「ビジネスセンター」,「事務センター」と呼ぶ千趣会の施設で管理する。残る顧客情報の管理は,日本IBMのデータ・センター(大阪市・南港と千葉市・幕張)にアウトソーシングしている。

 外部にアウトソースしているのは,データ・センター向け製品の技術進化が早く,陳腐化が激しいためだ。データ・センターのコンピュータ資源を自社で管理するよりも,運用管理コストを削減できると判断した。

3種類の拠点でポリシー変える

 千趣会の社内拠点は,役割ごとに三つに大別され,4カ所のセンターとはそれぞれ異なるネットワーク接続ポリシーで接続される。三つの拠点群は,重要度の高いものから,(1)顧客と直接取引を行って受注・配送などの最重要データを取り扱うコール・センターや物流センターなど,(2)商品データベースや顧客データベースにアクセスすることもあるが,基本的には社内業務を管理するビジネスセンターへのアクセスが多い本社など,(3)基本的にビジネスセンターにアクセスする各地の店舗や営業所など──である

 まずコール・センターや物流センターなど国内12拠点は,NTTコミュニケーションズが提供する広域イーサネット「e-VLAN」を経由して,通常は南港のIBMデータ・センターにアクセスする。e-VLANに何らかのトラブルがあって南港のデータ・センターに直接アクセスができない場合には,コール・センターからの受注情報などは,いったんビジネスセンターを経由して,南港のデータ・センターにアクセスすることもできる。このルートは,繁忙期にトラフィックを分散するためにも用いる。

写真1●溝口誠 業務本部情報システム部 システム企画統括チームマネージャー
写真1●溝口誠 業務本部情報システム部 システム企画統括チームマネージャー

 これら拠点には,上記の迂回ルートのほかにバックアップ回線も用意する。バックアップにはNTTコミュニケーションズのVPNパッケージ・サービスである「OCNビジネスパックVPN」を活用する。「バックアップ用なので,高価な広域イーサネットではなく安価なVPNで十分だと判断した」(業務本部情報システム部システム企画統括チーム溝口誠マネージャー,写真1)という。

 本社など17拠点も同じe-VLANを経由し,南港のデータ・センターとのデータのやり取りもあるが,主な接続先は社内の業務システムがあるビジネスセンターである。「コール・センターと南港データ・センター」と,「本社とビジネスセンター」間は,e-VLANの上で独立した論理回線を設定しており,「業務系のアクセスが集中しても,顧客対応をするネットワークに影響を与えない」(同)設計になっている。

 32拠点ある販売店舗や各営業所にはe-VLANを使わず,NTTコミュニケーションズが提供するVPNの回線や関連機器のパッケージ・サービスである「VPN-S」を活用。アクセス回線は,Bフレッツなどの光回線が届かない地域ではADSLを採用している。

 VPN-Sは,足回りに公衆網を使うので帯域保証が無く信頼性に欠けるという面があるものの,e-VLANと比べて約1/5のコストで運用可能だ。32拠点の営業拠点は,業務用パソコンが大半を占める。IBMのデータ・センターではなく,ビジネスセンターにアクセスして業務系のアプリケーションを活用することが多いため,VPN-Sで済ませている。「必要最低限の投資に割り切ることも必要」(高田部長)と考えた。