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写真1●浜松市中区にある遠鉄ストアの「フードワン佐鳴台(さなるだい)店」
写真1●浜松市中区にある遠鉄ストアの「フードワン佐鳴台(さなるだい)店」
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 静岡県西部で食品スーパー25店舗を展開する遠鉄ストア(浜松市)は、2008年後半から独自のポイントカード施策を加速している。同社は新規出店を控えているものの、既存店の底上げによって2009年5月まで36カ月連続で前年同月比を上回る好調な売上高を継続している。2010年3月期は前期に続いて増収増益を見込む。

 従来は遠鉄ストア単独でポイントカードを発行していたが、2008年9月から遠州鉄道など遠鉄グループ共通の「えんてつカード」のサービスを始め、これまでに既存カードからの切り替えをほぼ完了させた。既に30万枚以上を発行し、商圏内では1世帯に1枚の比率で普及。遠鉄ストアだけではなく、遠鉄グループの鉄道・バス(非接触ICカード乗車券「ナイスパス」と連動)のほか、タクシーやガソリンスタンド、自動車整備・点検施設などでもポイントをためたり、利用することができる。

生活防衛志向でポイントのお得感が増す

写真2●遠鉄ストアでは、米など生活必需品を対象に、全額をポイントで支払うと大幅に割り引くキャンペーンも実施
写真2●遠鉄ストアでは、米など生活必需品を対象に、全額をポイントで支払うと大幅に割り引くキャンペーンも実施
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 原田定男・常務取締役営業本部長は「グループ共通化でポイントの魅力が高まり、来店や利用の動機付けを強められた。不況で消費者が生活防衛志向になっている今だからこそ、ポイント付与による心理的な“お得感”の効果が大きくなっている」と説明する。遠鉄ストアでは従来もポイントカードが普及していたが、グループ共通カードの導入によって、顧客数ベースの利用率はさらに数ポイント上昇して80%を超えた。グループ共通化を機に、顧客にアプローチする際の住所などの個人情報も最新のものに更新できた。データ分析には日本NCRビジネスソリューション(東京・品川)の中堅小売業向けツール「RealAction(リアルアクション)」を採用している。

 遠鉄ストアはこのCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の情報基盤を、競合店対策という「守り」のツールとして徹底活用しているのが特徴だ。顧客の嗜好を分析するなど複雑なデータ活用を目指すのではなく、圧倒的な会員数と利用率をシンプルに生かす方策を重視する。

 遠鉄ストアの本拠地である浜松市は人口80万人を擁する大きな商圏で、同社をはるかに上回る規模の大手小売りチェーンの進出が絶えない。この防戦手段としてポイントカードを徹底活用している。例えば2008年9月に大手小売業の競合店が進出した際は、近隣2店舗の利用客を抽出して直接来店を促すDM(ダイレクトメール)を発送。ヒット率は30~35%に上った。対象店では競合開店直後こそ売上高が減少したが、すぐに持ち直し、前年同月比数%増で推移するようになった。2009年6月にも、別の競合店の進出に合わせたDM発送を予定している。

 ある店舗の商圏内の特定地域で1人当たりの売上高が大きい優良顧客の数が減少した場合、その地域にある競合店への顧客流出が考えられる。この場合はその地域限定でチラシの配布をするなど、地域密着型のきめ細かな施策も実践している。これらの施策が既存店売上高の維持・向上に寄与している。