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 住宅メーカーのエス・バイ・エルが戸建て住宅の見積もりや注文をインターネット経由で受け付ける「ネット住宅事業」で、2009年度に前期比2倍の500棟を販売する目標を立てている。不況や少子高齢化の影響で戸建て住宅市場が縮小するなか、製造原価を抑えた割安感のある住宅をチャネルコストの安いネットで販売し、生き残りを図る。

 同社は原価を抑えるため、3つの施策に取り組んでいる。1, 間取りの仕様をすべて規格化し、自社の既存商品よりも坪単価を約5万円安くしたネット住宅事業専用の新商品「Net Wingmodern(ネット ウイングモダン)」を2009年4月に発売、2,生産・物流部門の原価低減活動を推進、3,顧客からのネット受注プロセスを自動化し、住宅建設の着工までの期間を短縮、である。

 まず、住宅の間取りの仕様をあらかじめ103種類に絞り、利用する部材の仕様をすべて規格化した。セミオーダー形式を取ることで特注対応の手間を減らし、低コスト化を図った。これで部材の品質を下げることなく、坪単価を最安値で34万9000円まで抑えたネット ウイングモダンを開発した。

 生産・物流部門の原価低減活動では、2007年からトヨタ流のコンサルティング会社であるカルマン(東京都中央区)と契約。使用した分だけを補充するかんばん方式を導入し、部材の在庫を大幅に減らしている。2008年10月には受注した住宅ごとに部材を生産・管理する「邸別生産」を、つくば工場(茨城県つくば市)で開始した。これでもう一段の生産コスト削減に励む。

 受注プロセスの自動化では、顧客がネットから入力した注文データと社内システムを連動させ、CAD(コンピュータによるデザイン)の図面生成から、物流センターに部材を発注するまでのプロセスの大半を自動化した。顧客が利用する販売用ウェブサイト「ネットdeすまい」に間取りのシミュレーション機能などを追加する2009年秋のタイミングで運用を開始する。

 これらの仕組みにより、受注してから最短で3日後には住宅を着工できる体制を整える。実際には建築確認申請を自治体などに提出して許可を得る必要があるため、着工開始は約20日後となるが、それでも従来は約50日間を要していたので半分以下の短縮といえる。着工が1カ月早まると、引き渡しまでの期間がそれだけ短くなり、顧客満足度を高められる。しかも、エス・バイ・エルにとっては顧客1人当たりにかける人件費を抑えられる。これを価格に反映すれば、顧客に還元できる可能性がある。

 エス・バイ・エルは間取りの規格化を営業体制の強化にも生かしている。2009年4月にはネット住宅事業専用の代理店制度「ネット住宅専売代理店システム」を新設したところだ。間取りの規格があらかじめ決まっていて、設計変更などの複雑な事務作業が発生しない特徴を生かし、専門の設計士を抱える工務店以外にも代理店になってもらう。家具店などが有力な代理店候補だ。エス・バイ・エルの支店網ではカバーし切れない地域を新たに契約する代理店に任せ、全国できめ細かく営業できる体制を整えて販路拡大を狙う。