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アイケイコーポレーション総合管理本部総務人事グループ採用教育セクションの松山和生シニアリーダー(写真右)と川部高志氏。川部氏が手に持つのが「EMGC活動シート」。2人の後ろにあるのは、この活動で最優秀賞を獲得した歴代の社員やチームの名前を掲げたプレート。

 中古バイク買取専門店「バイク王」を全国展開するアイケイコーポレーションが、独自の全社改善活動「EMGC(Every Month Growing up Campaign)」のルールを見直し、現場の改善意欲のより一層の向上に挑んでいる。同社は2005年8月期から2008年8月期まで4期連続の増収増益を果たし、売上高は2.5倍に、営業利益は88.8倍に伸びた。社員数も年々急拡大してきたため、社員一人ひとりを指示待ち型ではなく自ら考えて行動できる人材に育てる必要性が高まっていた。

 EMGC活動は、自律型人材の育成を第1の目的としてまずは店長など管理職だけを対象に2005年に開始。「社員が自ら考えて業務を遂行する風土を築くために始めた」と総合管理本部総務人事グループ採用教育セクションの松山和生シニアリーダーは話す。その後、2回のルール変更を経て職場単位で取り組む活動へとEMGCを発展させ、2009年3月にさらにルールを見直したのだ。

 今回の変更点は、職場ごとに設定する1つの課題に取り組む期間を3カ月から6カ月に拡大したこと。じっくりと時間をかけて取り組めるようにしたことによって、各職場の社員たちが課題解決のために役割を分担し、全員でミーティングを重ねながらPDCA(計画・実行・検証・見直し)サイクルを毎月少なくとも1回は確実に回せるようにする効果を狙った。従来はPDCAサイクルを毎週回すよう推奨していたが、通常業務もこなしながら改善活動に十分な時間を毎週割くのは現実的でない職場が目立った。活動にまだ不慣れだったり、全員が集まる会合を毎週設けるのは難しい職場もあったりしたからだ。

 EMGC活動は、開始当初は毎月新たな課題を設定し、それを管理職が1カ月で解決するというルールだった。毎月の課題は、職場環境や業務のやり方に関するものを、活動事務局や経営陣が決めていた。例えば「節約」「ホスピタリティー」という課題があった。これに対し、現在のEMGC活動では各職場のメンバーが一丸となって業務改善のPDCAサイクルを回す。

 2009年8月までを一区切りとする今回のEMGC活動は、全国に90店以上あるバイク王や本社の各課などを全部で約130チームに分け、全社規模で実施している。チームごとに課題を1つずつ自由に設定し、課題と現状のギャップを分析し、目標達成のための月別行動計画を立て、その進ちょくを「EMGC活動シート」と呼ぶツールを使って細かく追う。

月に1~3回ずつPDCAサイクルを回す

 現在のEMGC活動シートのフォーマットは、1カ月間に1~3回のPDCAサイクルを回してその活動内容を記録する格好になっている。各チームを率いる管理職がこのシートを作成し、採用教育セクションに毎月提出する。目標設定作業は管理職が手がけるものの、各月の具体的な行動計画を考え、実行に移し、見直す作業はできるだけ部下たちに任せる。バイク王の店長は20代後半の若手が多く、部下のマネジメント方法を学ぶ良い機会になる。また、採用教育セクションのスタッフはEMGC活動が滞っているチームへ出向き、活動の活性化を促している。

 約130チームが取り組む課題には、例えば「中古バイクの整備作業時間の短縮」「お客様との商談時の査定の精度向上」「社内コミュニケーションの活性化」「お客様宅へ中古バイクを引き取りに行くトラックの交通安全」などがある。これらを「成約率○%アップ」「事故ゼロ」などの数字目標に置き換えることによって、チームでPDCAサイクルを回しやすくしている。

 「みんなで盛り上がって楽しく取り組めるよう気を配っている。他部署への競争意識も芽生えて盛り上がり、EMGC活動シートにたくさんの追加資料を付けて提出してくるチームもある」と松山シニアリーダーは明かす。同活動では一区切りごとに管理職と役員による投票を行い、月間で最優秀と認められた管理職や、3カ月で最も優れていたチームを選出し表彰してきた。表彰に際しては経営トップとの海外旅行などがプレゼントされる。

 次回の投票も、PDCAサイクルの回し方の徹底ぶり、顧客満足度や従業員満足度への貢献、チームワークなどを評価基準として実施する予定。最優秀賞に輝いたチームには海外旅行が贈られる見込みだ。

 折しも、アイケイコーポレーションの2009年8月期の業績見通しは売上高が前期比1.7%減、営業利益が同35.7%減と不況の影響を受けている。このため結果的に、今期のEMGC活動は景気回復に備えて現場力の強化を図る仕組みとしても機能しそうである。