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写真●生活協同組合連合会コープネット事業連合が運営する宅配事業「コープデリ」の配達用トラック
写真●生活協同組合連合会コープネット事業連合が運営する宅配事業「コープデリ」の配達用トラック
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 関東地方で食品スーパーや宅配事業を営む生活協同組合連合会コープネット事業連合(さいたま市)は、IT(情報技術)を活用した顧客離脱防止活動を2009年9月から強化する。同活動は、電話による自動音声配信システムを利用したもので2008年9月から開始した。効果を確認できたため、今回の強化で頻度を月1回から週1回に増やして本格的に運用する。現在は在宅率が低い東京都・千葉県・埼玉県の3都県の会員を対象に運用しているが、群馬県・栃木県などへの拡大も検討している。

 コープネットは宅配事業「コープデリ」を展開している。大手小売業のネットスーパー参入などもあって新規会員獲得競争は激化しており、既存会員の維持を重視している(関連記事)。コープデリの会員は、原則として週1回カタログを見て注文を出す。約140万人の会員の毎週の注文率は平均8割。注文を休む残りの2割の中には「お盆休み」などの理由で注文を休んでいるケースもあるが、そのまま注文の習慣が無くなって離脱してしまうことも多い。

コールセンター委託に比べコスト10分の1

 そこで、コープネットは注文を連続して休んでいる会員に着目し、原則として3週以上連続で注文を休んでいる会員(連続未利用者)には電話で注文再開を促している。従来は配達担当者などが配達の合間に電話をかけていたが、その分残業時間の増大につながっていた。

 そこで、コープネットは人手をかけずに注文再開を促せる仕組みを検討。プレミアグローバルサービス(東京都中央区)のASPサービス「voiceREACH」を利用することにした。同サービスは着信1件当たり数十円(電話代込み)の従量制課金で、「配達担当者の残業代に比べて圧倒的に安価。コールセンター業者などに委託する場合の想定コストと比較しても10分の1程度で済む」(堀洋之コープデリ宅配業務管理部構造改革推進次長)という。

 同システムの利用手順は以下のようになる。まずコープネットはパソコンのマイクで音声ファイルを作成。「生協の宅配コープデリから、明日のご注文について声のメールでご案内しております・・・」といった内容を吹き込む。次に会員管理システムから、連続未利用者を1回当たり3万~4万人抽出し、電話番号入りの名簿ファイルを作成する。そしてこの2つのファイルをvoiceREACHの専用ウェブサイトにアップロードする。すると、システムが自動的に電話をかけて音声を流す。

 連続未利用者のうち、電話が着信した場合の注文率は40%程度になり、着信しない場合の30%程度を上回る。これに伴う直接的な売り上げ増加効果は1000万~1500万円に上る。会員の早期離脱を防止する効果も大きいと見て、今回の利用拡大を決めた。会員に限定して電話をかけるため、「迷惑電話だ」といったクレームもほとんどないという。

用途広がる音声配信システム。総選挙でも活躍か

 もちろん、本来はなじみの配達担当者が肉声で電話をかけたほうが注文を促す効果は大きい。だが、都市部では配達担当者の手が空く時間帯の在宅率は低い。着信率自体が約5割にとどまるため、電話をかける労力の割に効果に乏しい問題があった。音声配信システムは在宅が多い時間帯を狙って自動配信するため、着信率が7割以上あるのが強みだ。

 コープネットは、自動音声配信サービスの「voiceREACH」を未収金の支払い督促などにも利用している。プレミアグローバルサービスによると、同サービスは利用分野が広がりつつあり、現在行われている総選挙で、選挙運動のため候補者が自らの肉声で「最後のお願い」を吹き込んで、投票日直前に有権者に自動配信する事例があるという。