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日本電子債権機構(JEMCO)の神山正夫システム部長(左)と、上原高志・取締役企画部長(右)
日本電子債権機構(JEMCO)の神山正夫システム部長(左)と、上原高志・取締役企画部長(右)
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 三菱東京UFJ銀行の子会社である日本電子債権機構(JEMCO、東京都中央区)は、2009年10月をメドに新しい金融サービス「電手(でんて)」を始める。電手とは、電子的な約束手形をイメージしたJEMCOの造語である。JEMCOは、2008年12月に施行された電子債権記録法に基づく電子債権記録機関として新規参入しており、現時点では国内唯一の電子債権記録機関である。5年後に中小企業約10万社の利用を目指す。

 JEMCOの上原高志・取締役企画部長は「手形による取引はピーク時に約100兆円あったのが今は半分以下に減っており、その分、中小企業の資金調達が制約を受けている。電子化を通じて、中小企業の資金繰りを支援できるようにしたい」と説明する。

 日本企業では、企業間取引の代金の支払いに、期日を指定して支払いを約束する紙の手形がよく使われているが、発行や受け取りなどの事務作業に手間がかかるうえ、紛失・盗難・偽造などのリスクがある。電手では、これを電子化してJEMCOのサーバーで一元的に記録し、「割引」「分割譲渡」など手形としての機能を提供する。

 電手を受け取った中小企業などが、資金繰りのために割引(資金化)したい時には、ウェブサイトかファクスで申請をすれば2営業日後に入金される。従来の紙の手形では、入金までに数週間かかることもあった。これが短縮される分、中小企業にとっては資金繰りの余裕が生まれることになる。取引先の銀行に割引を頻繁に依頼しづらいといった心理的な障壁も無くなる。

 支払い側の大手メーカーやゼネコンなどの企業にとっても、電手を使うことで紙の手形発行に伴う煩雑な事務作業を削減できたり、紙の手形では必要な印紙税が不要になったりするメリットがある。

 JEMCOの基幹情報システムはゼロベースで約2年間かけて開発した。手形取引そのものが日本独自の商慣習であるため、海外に適用できるパッケージ・ソフトは無かったという。厳重な災害・セキュリティー対策や、手形取引にかかわる多数の金融機関と接続できる機能も必要になる。JEMCO設立に当たって確保した資金約40億円のほぼすべてをシステム関連費用に充てた。

 JEMCOの主要顧客に当たるのは中小企業で、5年後に10万社の利用獲得を目標としている。中小企業経営者に幅広く電手を認知してもらう必要があるため、法人向けの金融サービスには珍しく、新聞などのマス広告を多用。さらに、ユーチューブ(YouTube)に動画広告を投稿したり、上原取締役のブログを更新するなど、ネットマーケティングも積極展開している。