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三井化学市原工場の用役課で働く若手社員
三井化学市原工場の用役課で働く若手社員
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 三井化学は2015年までに2008年度比で年間生産コストを100億円削減することで、損益分岐点となるプラントの稼働率を70%まで引き下げる目標を掲げている。このために各生産拠点が様々なカイゼンに取り組むなか、千葉・市原工場の用役課では2006年以降、年間数千万円規模のコスト削減効果を継続的に生んできた。

 およそ60人からなる用役課は、外部から購入したり、自前のプラントで製造したりして純水や窒素、電気などをエチレンやポリエチレンの製造プラントに供給している。用役課自身に生産機能は無いが、工場になくてはならない「縁の下の力持ち」のような部門だ。ただし、長年各プラントの要請に応じて安全に安定的に供給することを旨としてきたので、「工場全体から見たらコストセンターなのでコスト意識は低かった」(製造1課の平田則雄用役課長)

 そこで2006年からは新しく配属された若手向けの教育カリキュラムに、コストダウンへの意識を根付かせる講習も加えた。従来は、製造装置の運転や点検といった科目が中心だった。

 さらに同年から研修期間を1年から半年に短縮した。配属当初の研修期間を短くすれば、若手は早くから先輩に混じってカイゼン活動に参加できるからだ。ただし、実習のために教育係と新人だけはプラントの稼働状況に合わせてグループ活動から離れてもよいことにしたり、研修の進ちょくの評価を四半期ごとから毎月に細かくしたりと、教育・訓練の質を落とさないように配慮した。

 こうした工夫が功を奏し、若手が活躍しているという。ベテランに比べてプラントの知識は少ないが従来の業務に対して先入観を持たないのが強みだ。逆にベテランは長年の経験がカイゼン活動の邪魔になることがある。決められた作業を確実にこなすことを大事にしてきたベテランにとって、長年の業務手順を疑ってムダに気づくことはむしろ難しいからだ。

 コスト削減活動が4年目に投入した用役課では、徐々にカイゼンのネタは減ってきた。平田課長は「活動を始めた当初は1000万円規模の効果が出るカイゼン活動のテーマがたくさんあったが、最近はさすがにあまり無い。ホームランは狙わず、こつこつとヒットをつなげていきたい」と話す。

 団塊世代の退職がここ数年は増加するため、三井化学では実務経験5年以内の社員の比率が2007年時点で10%だったのが、2010年には30%まではね上がる見込みだ。カイゼン意識の高い若手の育成に努めてきたのは、こうしたベテランの大量退職に備える狙いもある。