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 東洋インキ製造は2010年から、環境会計手法の1つである「マテリアルフローコスト会計(MFCA)」の視点を取り入れた固定費削減の活動を、生産部門や研究部門で本格化させる。環境会計を適用することによって、生産時に発生する廃棄物のコストに対する現場の意識を高め、固定費削減を促進する狙いである。

 MFCAは環境管理会計の一種で、ドイツの経営環境研究所が原型を開発した。原材料(マテリアル)を投入してから製品が完成するまでの一連のフローで発生する廃棄物を“負の製品”と見なし、負の製品の生産にかかっている原材料費や労務費、加工費を「原価」として算出する。廃棄物コストを顕在化させ、現場の作業者に環境対策やコスト削減につながる改善活動を促せる。

 東洋インキは、2008年11月から川越製造所(埼玉県川越市)のプラスチック用着色剤の生産部門でMFCAを試験的に適用。さらに同年12月には電子メディア材料などを生産する守山製造所(滋賀県守山市)の一部の部門に応用した。いずれの取り組みでも、廃棄物コストが顕在化したことで、有効な現場改善策を導き出すのに役立ったという。「環境対策とコスト削減を促進する全社共通の指標として利用できる」(松山茂樹常務取締役生産物流本部本部長)と判断、水平展開することを決めた。

 MFCAを本格的に展開するための事前準備として、同社は2009年4~10月にかけて、4つの事業分野の研究部門や生産部門の課長クラスなど計15人ほどに研修を実施した。研修の参加者は、MFCAについての基本的な知識や、現場での適用方法などをシミュレーションを交えながら習得した。研修参加者は、各事業部の現場にMFCAの知識を生かした改善活動を広める伝道師役となる。

 また、MFCAの研修は2010年以降も引き続き実施する考え。伝道師役を増やすことで、松山常務は「廃棄物コストを減らす改善活動が、草の根的に広がることを期待している」と明かす。