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ネットワーク増強とコスト減を両立

 ただ,データ・センターと本社のそれぞれに正副の業務サーバーを置くとなると,データ・センター向けの回線を新規に契約しなければならない。加えて,ミラーリングのトラフィックを支えるために,本社の回線も増強する必要があった。

 Powered Ethernetを利用した従来構成では,業務サーバーがある本社までは10Mビット/秒の帯域としていた。業務サーバーをデータ・センターに移しても,各地の拠点からのトラフィック量は今まで本社に集中していたものと変わらない。ただし,これにミラーリングのトラフィックが加わるため,従来の本社用回線の3倍となる30Mビット/秒の帯域が必要になると見積もった(図2)。さらに,ミラーリングの通信相手となるバックアップ系システムがある本社も30Mビット/秒に増速する必要がある。

図2●WVSのトラフィックフリー機能で各拠点の契約帯域を抑える<br>データ・センター向けの通信に物理回線の帯域の上限まで利用できる「トラフィックフリー機能」を活用。大阪本社の契約帯域をデータ・センターに比べて低く抑え,低コスト化を実現できた。
図2●WVSのトラフィックフリー機能で各拠点の契約帯域を抑える
データ・センター向けの通信に物理回線の帯域の上限まで利用できる「トラフィックフリー機能」を活用。大阪本社の契約帯域をデータ・センターに比べて低く抑え,低コスト化を実現できた。
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 そうした中,片山氏はKDDIが2008年12月に開催したセミナーで新しい広域イーサネット・サービスを知った。それがWVSである。Powered Ethernetのユーザーだった大幸薬品は,セミナーにいち早く参加できたという。片山氏は,「当初はピンと来なかったが,後から,WVSのトラフィックフリー機能が増速に伴うコスト増という課題の解決策になることに気付いた」という。

 WVSのトラフィックフリーでは,契約帯域が回線の物理帯域の上限よりも小さくても,必要な時には物理帯域の上限まで使える(バースト)。これを利用すれば,データ・センターの契約帯域を大きくするだけで済み,他の拠点の契約帯域を小さくしてコストを抑えられる。同社によると,具体的なコストは開示できないが,拠点とデータ・センターの間の帯域を実質的に3倍に増やしたにもかかわらず,全体の通信コストは従来よりも若干減ったという。