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慎重な移行計画でトラブルを回避

 大幸薬品は2009年1月,詳細な計画立案に先立ってデータ・センターの選定を開始した。最終的に利便性を考え,東京のデータ・センターを選んだ。

 2009年4月には「T-BCP」プロジェクトとして本格的に計画を始動,5月に27工程に及ぶ綿密なスケジュールを策定。6月には新たに導入する業務サーバーのテストを開始した。東京のデータ・センターに設置する前に,まず大阪本社でシステムを稼働させ,問題がないかどうかを確認した。

 新業務サーバーを東京のデータ・センターで稼働させたのはWVSのサービス・インからおよそ1カ月後の8月。このときも,いったん本社の旧サーバーを本番系として動かしデータ・センター側で新サーバーをテスト運用するなど,段階的に移行を進めた。その結果,トラブルは発生しなかったという。

拠点は旧サービスからWVSを利用

 移行トラブルへの配慮は,ネットワーク切り替え手順にもうかがえる。東京のデータ・センターで新業務サーバーを本稼働させWVS機能を利用し始めた後も,各拠点ではいきなりWVSに切り替えず,従来のPowered Ethernet経由でデータ・センターに接続した。

 KDDIはWVSを採用した企業向けに特別な移行メニューを用意している。Powered EthernetとWVSを相互接続し,Powered Ethernet側からWVSを利用できるようにするものだ。

 大幸薬品がこうした形態をとったのは,切り替え作業にかかる時間をできるだけ減らすためである。Powered EthernetとWVSの回線を同時に敷設しておけば,瞬時の切り替えが可能で,本社から出張する情報システム部員の作業時間が短くて済む。さらに,トラブルが起こっても,Powered Ethernetに戻せば通信遮断時間を最小限に抑えられる(図3)。

図3●各拠点では既存の広域イーサを併用して順次移行した<br>WVSに接続されているデータ・センターに業務サーバーを置いた後でも,すぐには各拠点をWVSに切り替えず,既存のPowered Ethernetをアクセス回線として併用した。これにより,切り替え作業を短い時間で完了できた。
図3●各拠点では既存の広域イーサを併用して順次移行した
WVSに接続されているデータ・センターに業務サーバーを置いた後でも,すぐには各拠点をWVSに切り替えず,既存のPowered Ethernetをアクセス回線として併用した。これにより,切り替え作業を短い時間で完了できた。
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 9月には,Powered EthernetからWVSへの完全移行を完了。その後も問題なく稼働しているという。

 今後は,現在は大阪本社にあるグループウエア用のサーバーやインターネットへのアクセスも業務サーバーと同じデータ・センターに移行する予定だ。WVSの低コスト化とデータ・センターの高い信頼性の両方のメリットが得られると考えている。

●企業情報

本社:大阪府吹田市
従業員数:連結210人/単体174人(2009年3月現在)
拠点:大阪本社を含め全国6カ所

医薬品や衛生管理製品の製造販売を主に手がける。前者の主力製品である「正露丸」や「セイロガン糖衣A」は高い知名度を誇る。後者では,置くだけでウイルスを除去できる「クレベリン ゲル」などが有名。