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ハウス食品でルウシチューの販促を手がけるマーケティング本部調味食品部の白樫雄一販売企画マネージャー
ハウス食品でルウシチューの販促を手がけるマーケティング本部調味食品部の白樫雄一販売企画マネージャー
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 ハウス食品が2007年から5カ年計画で取り組んでいるルウシチューの価値創造マーケティングが3年目で正念場を迎えている。家庭用ルウシチューで7割のシェアを握るといわれる同社のシチュー食品(カップシチューを除く)の年間売上高は2007年度に前年度比4.2%増、2008年度に同5.7%増と好調に推移してきた。2007年11月に卸価格を約10%値上げし、主力商品の「北海道シチュー」の店頭価格も190円台前半と10円前後上がったにもかかわらず売り上げを伸ばしたことで、価値創造の成功例として注目された。ただし、2009年度は同カテゴリーの売り上げを同3.2%減と見込んでおり、やや勢いに陰りも見えている。

 同社広報課によると「2009年4~12月期はルウシチュー全体で販売数量は2%程度伸ばしているが、販売金額が前年度割れなのは事実。2008年度に発売し出足好調だったルウタイプの『チャウダーの素』に反動が出ていることや、比較的低価格な『こくまろシチュー』が他社製品の影響で前年度割れになっていることなどが足を引っ張っている」という。ただしシチュー食品の価値創造活動の柱である北海道シチューはまだ販売を伸ばしており、2009年4~12月末までの売上高累計が前年同期比約2%増だという。「野菜が豊作な今冬は家庭で鍋志向が強まりシチュー商品には逆風が吹いている。そのなかでよく健闘している」(同社)。ルウシチュー全体のイメージ向上に加えて、個別のブランドてこ入れにも取り組むなどの苦心が北海道シチューの価格維持と販売増加につながっているようだ。

 同社が2007年度からルウシチューの販促の柱として実施してきたのが「野菜をおいしく食べるならシチュー」を訴求する施策である。子供の健康を気遣う母親の愛情メニューとして訴求すれば高い価値を感じてもらえることを、2006年度に消費者調査や、コープさっぽろ(札幌市)での店頭実験を通じて確認した。2007年度から5年計画で取り組み始め、2009年度で3年目になる。

 まず2007~2008年度は日本ベジタブル&フルーツマイスター協会と提携し、同協会が認定する野菜ソムリエにメニューを提案してもらい、試食販売、小売店向けの勉強会などの活動を実施した。さらに野菜ソムリエ資格者であるタレントの西田ひかるを母親役にして、子供に野菜シチューを食べさせるシーンをテレビCMで放映するなどしている。

 同社マーケティング本部調味食品部の白樫雄一販売企画マネージャーによると、野菜ソムリエとこうしたタイアップを行うのは同社初の試みだった。「野菜ソムリエが行くと青果売り場が歓迎してくれて、店頭で売り場の“1等地”を楽に確保できた」(白樫マネージャー)という。また、小売店の青果担当者向けの勉強会も「意外に、野菜がどう食べられているのか知らない人が多く、喜ばれた」(同)。

 こうした野菜シチューのプロモーションの成果指標として、白樫マネージャーが重視しているのが、「かぼちゃと白菜のシチューでの使用率」である。これは日本ベジタブル&フルーツマイスター協会のアイデアで、かぼちゃと白菜を使ったシチューの提案に力を入れているからだ。店頭デモやテレビCMなどで、この2つの食材を強調してきた。実際、消費者に定期的に実施する独自のインタビュー調査において、2008年8月~2009年2月の両食材の使用率が上昇していることが確認できたという。

 ただし2008年度終了後、反省点も露見した。「『野菜と食べよう』というプロモーションを進める一方で、北海道シチューの『乳製品たっぷりのコクのある味』という魅力の認知度が少し弱くなっていた」(白樫マネージャー)。そこで、2009年8月に北海道シチューをリニューアル。焦がしバターを使って乳製品の風味を強化した。

 白樫マネージャーは毎年、少し涼しくなった8月中旬~9月末に発生するルウシチュー需要を「ファーストシチュー」と呼んで、重視している。この時期にシェアを確保すると、冬商戦も有利になる傾向があるからだ。幸い、北海道シチューの売り上げは2009年8月に前年同月比10%増と、順調なスタートを切れたという。「主力の北海道シチューのてこ入れがうまくいっていることが心強い。ただし、この冬は競合他社の鍋メニューの販促が強力だし、デフレの進行も気がかり。野菜と健康という切り口に向けて、野菜ソムリエに続くコラボレーションも新たに考えていく」(白樫マネージャー)と2010年度に向けて気を引き締めている。