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ヨコオの深川浩一執行役員経営企画本部長
ヨコオの深川浩一執行役員経営企画本部長
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 車載通信機器などを製造・販売するヨコオは、本社とグループ会社9社が運用する会計システムを独SAPの「SAP ERP」で統一し、2009年11月末に本格運用を開始した。同時に、コネクター事業と医療機器事業の生産管理システムもSAP ERPで刷新。両事業部門は海外拠点が抱える在庫量をオンラインで直ちに把握できる体制を整えつつある。同社のCIO(最高情報責任者)に相当する深川浩一執行役員経営企画本部長は「連結決算の処理や取引先への納期回答のスピードを向上させ、経営の品質を高める」と狙いを明かす。

 ヨコオでは従来、事業分野や各地のグループ会社ごとに別の会計システムを運用してきた。1990年代前半に進出した中国では当時、政府指定の会計システムを使わなければならなかったなどの制約があったためだが、結果的に業務上で様々な無駄が発生していた。

 例えば四半期ごとの決算処理では、「各社仕様で解釈にずれがあった勘定科目の数値を本社仕様に組み替える作業だけで、経理部が丸1日を要していた」(柳沢勝平経理部部長)。また、海外拠点が抱える在庫量をオンラインで把握できず、取引先への納期回答などで競合の欧米メーカーに後れを取りがちだったという。

 これらの課題を克服するため、深川執行役員は「業務・IT基盤確立プロジェクト」を2007年に立ち上げ、システム刷新を推進。まず勘定科目の解釈を統一し、各国語に翻訳するなどしたうえで、2008年後半から各拠点のシステムを切り替えていった。

 2010年3月期決算は、2009年11月末に新会計システムを本格運用し始めて以来、初めての決算業務になる。新システムの真価がはっきりするのはその後だ。在庫をリアルタイムで把握する仕組みについては、データが正確かどうかの確認を終え次第、本格運用を始める。

 今回導入した生産管理システムでは、ロット単位の管理も強化される。例えば顧客への納品日と製造ロット番号などを関連づけられるようにした。これにより、1回の出荷量が100万個単位にも上るコネクター製品で仮に品質問題などが発生しても、どのロットに問題があったのかをすぐに追跡できるようになった。同じ仕組みを活用してロットごとの歩留まりを記録し、生産性改善に役立てるなどの使い方も視野に入れている。

 ただし、現場にとっては新システムで入力作業が重くなった。生産拠点の担当者が入力する項目は従来よりも5項目増えている。このため、「導入前には各拠点の現場から強い抵抗に遭った」と深川執行役員は打ち明ける。同氏は2007年度下期には、電話会議やウェブ会議を毎週のように開催。「経営品質を高めるために必要なこと」と粘り強く語って、現場に理解を求めたという。