PR
本社での準決勝の様子。エリア予選を勝ち抜いたSA30人の接客スキルが審査の対象だ
本社での準決勝の様子。エリア予選を勝ち抜いたSA30人の接客スキルが審査の対象だ
[画像のクリックで拡大表示]
グループ店長会議の冒頭に開催した「接客コンテスト」の決勝大会
グループ店長会議の冒頭に開催した「接客コンテスト」の決勝大会
[画像のクリックで拡大表示]

 中古車買い取り大手のガリバーインターナショナルは、2009年10~12月に店舗で働く女性従業員であるSA(スマートカーライフアシスタント)対象の接客コンテストを社内で初めて開催した。コンテストを開くことによって接客レベルの底上げを図り、顧客の囲い込みを狙う。

 SAは長年「セールスアシスタント」を指し、商談をこなす男性社員をサポートする「営業事務」に過ぎなかった。現在の呼称に改めたのは2008年の春。「接客のプロへの挑戦」というスローガンを掲げるガリバーでサービスの基点となる役目を負うことになった。具体的には事務作業や来客への飲み物の提供だけではなく、査定で来店した顧客の購買意欲を確かめて、中古車販売システム「ドルフィネット」を紹介することなどだ。同社は買い取り事業に加えて小売りやカーシェアリングなどにも力を入れている。

 ただし、長年“後方支援”に徹してきたSAの中には新たな任務に尻込みする人も少なくなかった。主に直営店でのSAの活性化に取り組む直営推進直営企画の小林千恵子氏は、「本来女性のほうがもてなしは上手。接客に長けていたSAもいたが、『あくまで自分は事務員だから』という意識を持つ人が多かった』」と話す。そこで、小林氏は2008年からは各地で「SA会議」という勉強会を開いてきた。ガリバーの経営理念を共有することから始まり、接客の基礎から身だしなみまで様々なテーマで話し合いを重ねて意識改革を図る試みだ。

 同会議には横の連帯を強める目的もあった。通常、1つの店舗にはSAは1~2人しかいない。「職場に同じ職種の同僚や先輩がいなければ、どうしても視野が狭くなる。SAには素直な子が多いので上司に言われたことをそつなくこなすが、目標になる存在を知ればより業務に対して積極的になるはず」(小林氏)。SA会議はSAが刺激し合える仲間を見つけたり、自分の業務の幅を広げるヒントを得たりできる場となった。

 小林氏はこうした流れをさらに進めるために2009年夏に接客コンテストを思いついた。コンテストを勝ち抜いた優秀なSAはロールモデルになるし、彼女たちがコンテストで見せる接客ノウハウは水平展開すべきお手本となる。

ホテルの大ホールで“接客”を見せる

 小林氏は同僚2人とすぐにコンテストの計画を実行に移した。9月には273人が参加したエリア予選が始まり、11月には30人が東京本社での準決勝へ進出。エリア予選では主にマナーや言葉使い、顧客への思いが、準決勝ではクレームの対応や中古車の売買に関する必要書類の説明が対象となった。そして4人のSAだけが出場する決勝大会は、羽鳥兼市代表取締役会長ら経営陣や全国の店長らが集まるグループ店長会議が舞台となった。

 決勝に残った4人のうち、3人は直営店で、1人はフランチャイズ店で働く。決勝では来店客役の俳優相手に、接客スキルを10分間のロールプレイで披露する。夫婦連れだったり、男性、女性の単独客だったりという客の種類や相談内容も4人それぞれに異なる設定を用意した。ホテルの大ホールで数百人を前にしての“接客”とあって緊張を見せるSAもいたが、冗談を交えた切り返しで会場をわかせる場面もあった。

 審査員役を務めた店長たちにも接客コンテストは学ぶ点が多かったようだ。直営、フランチャイズ合わせて全国で400を超える店舗の店長にとっても「SAにはどこまでの仕事を任せるべきなのか」についての線引きは不明確だったからだ。優れたSAの仕事の範囲や接客のレベルを目の当たりにすることで今後のSAの活用や指導へのヒントにもなった。小林氏は「SA1人で店の雰囲気がぐっと変わる。店長の多くはこれまで男性の営業担当者ばかりを育てようとしていたが、SAの育成にも力を入れるきっかけになれば」と話す。