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「広さ」を感じさせないWANを選択

 共同システム開発の契約を締結した当時,北海道内に10Mビット/秒クラスのメニューがあるWANサービスの選択肢は必ずしも豊富ではなかった。その中で当初候補に挙がったのは,通信料金が拠点間の距離に依存しないメガデータネッツだった。道銀の場合,基幹システムやMEJARのアクセス・ポイントと各支店の間の距離が半端でなく長いためである。

 ところがプロジェクトを進行している途中で,NTT東日本がビジネスイーサ ワイドのサービスを始めた。サービス地域が都市部に限られていた旧メトロイーサ(ビジネスイーサ タイプM)の後継サービスである。

 メガデータネッツについては,「3Mビット/秒を超えるメニューになると料金が跳ね上がる点が気になっていた」(小林部長)。ビジネスイーサ ワイドなら,道内全域で10Mビット/秒以上を,しかもフラットな料金で利用できる。メトロイーサの実績などから,“枯れた”サービスという条件もクリアした。

 こうしてビジネスイーサ ワイドの採用を決め,支店ネットワーク全体を設計。そして2009年2月,一部の支店で先行してネットワークを置き換えた。この際,バックアップ用として支店にはBフレッツを引き込み,フレッツ・オフィス経由でもセンターに接続できる構成とした。

 本格的な移行を始めたのは4月。6月までの2カ月半,週末を使って切り替え作業を進めた。1回の週末で平均13店。IP対応の通信制御装置を追加導入し,MEJARに移行するまでは支店のIP対応端末から従来通りメインフレームを使えるようにした(図2)。

図2●店舗ネットワークのIP化のために通信制御装置も新調した<br>ネットワーク刷新ではIP接続が可能な通信制御装置を追加導入。店舗からは接続先を変更し,業務端末からもパソコンからも,IPでセンターに接続できるようにした。基幹システムの移行時には店舗側は何も変更せずに済む。
図2●店舗ネットワークのIP化のために通信制御装置も新調した
ネットワーク刷新ではIP接続が可能な通信制御装置を追加導入。店舗からは接続先を変更し,業務端末からもパソコンからも,IPでセンターに接続できるようにした。基幹システムの移行時には店舗側は何も変更せずに済む。
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 距離によらない料金のインパクトは大きい。アナログ専用線を3M~5Mビット/秒の広域イーサネットにアップグレードし,Bフレッツのバックアップまで用意したにもかかわらず,「通信料金は若干増えただけ」(小林部長)という。

BフレッツでATMの保守を容易に

 道銀は支店のネットワークと同時に,店外ATMのネットワークも刷新した。支店と同じ3.4kHzの専用線からフレッツ・オフィスへの切り替えである。各ATMからつなぐアクセス回線はBフレッツに統一。これにより,「ATMをオンラインで保守できるようになった」(小林部長)。

 オンライン保守は,多くはATMのソフトウエアや登録データを更新する作業である。例えば道銀以外の銀行の名称が変わっただけでも,振込先情報を更新するために保守作業が発生する。従来通りの手作業では,「すべての店外ATMを更新し終えるまでに3カ月近くもかかる」(小林部長)。道内で一斉に新しいサービスを始めることも難しい。そこでオンライン保守の仕組みが必要だった。

 アナログ専用線でも技術的には不可能ではない。ただ,ATM取引用のネットワークにリモート保守のトラフィックを流すと,データを更新し終えるまでの間,顧客の取引に支障を来す可能性がある。

 一方で,セキュリティ面の配慮から,将来的には夜間取引時にカメラで撮影した画像を送るなどの構想を持つ。そのために店外ATM用にも十分な帯域が欠かせない。帯域の点ではフレッツ・ADSLでも構わないが,ADSLは局舎までの距離が長くなるとスループットが落ちる可能性があり,場合によっては正常に通信できるかどうかさえ疑わしい。「実際に引いてみて,結局つながらなかったというわけにはいかない」(小林部長)。このため,すべての店外ATMにBフレッツを導入した。

 もちろん,ATM用ネットワークでも信頼性は重要だ。そこでベストエフォート型のBフレッツを使いつつ,ISDNをバックアップ回線として導入し,信頼性を確保している。

●企業情報

本社:札幌市中央区大通西4丁目1番地
従業員数:1790人(2009年3月末)

第2次世界大戦後の産業勃興期である1951年に,「北海道に根差した銀行」を目指して設立された地方銀行。2004年9月に北陸銀行と経営統合し,ほくほくフィナンシャルグループの傘下に入った。台湾の銀行との提携ATMを道内に展開するなど,新たな顧客サービス開発に積極的に取り組む。