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納期への不満解消

 しかし製造工程の改革だけでは追加注文の納期短縮しかできず、設計期間を含んだ受注から初回納品までのリードタイム短縮にはならない。

 もちろん以前から設計期間の短縮には努めてきた。しかしベテラン設計者に集中的に多くの案件が降りかかったり、営業の声が大きい案件が割って入るなどして、全体としては滞りがちだった。

 そこで2006年9月から設計部門で、TOCのCCPMを導入した。CCPMは期間短縮を図るためのプロジェクト管理手法だ。「厳しいが達成可能」、つまり経験者だと何とかこなせそうな期間で工期を見積もり、余った期間をまとめてバッファーとして管理する。すると、プロジェクトが進ちょくするなかで、不測のトラブルなどが発生するにつれてバッファーを消費することになる。当初設定したバッファーの期間をどれだけ食いつぶしたかに応じて、プロジェクトの進ちょく状況を赤・黄・青と色で表示することで、進行状況を誰にも分かるように見える化する。またあえて厳しい予定を前提にすることで、締め切りが近づくまでエンジンがかからない“学生症候群”を防ぐ効果もある。

 設計期間短縮には、CCPMのような管理手法の導入だけでなく、個々の設計担当者の能力の底上げも必要だった。そこで、若手1人とベテラン1人が1組で作業するペアプログラミングを導入した。若手のミスをその場で修正できるので設計品質の向上にも貢献している。

 こうして4週間かかっていた設計期間が1週間に短縮し、受注から試作品の納品まで2週間で対応できる体制が整った。追加注文よりも納品までの期間が短いのは、試作品の場合は、量産する場合と別枠で投入できるようにしているからだ。

 同社のTOC導入の初期段階で社内講習を実施したゴール・システム・コンサルティング(東京・千代田)の村上悟代表取締役社長は、「社内だけでなく外注先もうまく巻き込んでDBRを実践できた成功例。設計が同時にリードタイム短縮に取り組んだ事例である点も珍しい」と評価する。

 山田次長らTOC推進メンバーは海外製造拠点へもTOCを導入する。また、営業部門でも、TOC流の問題分析手法である「思考プロセス」の研修を実施し、顧客の問題解決に役立つ提案活動の強化を図っている。

TOC導入に取り組んだセラミック関連事業本部機械工具事業部の山田正通次長(右)と絹川達治機械工具事業部長(中央)、中村洋製造部長(左)
TOC導入に取り組んだセラミック関連事業本部機械工具事業部の山田正通次長(右)と絹川達治機械工具事業部長(中央)、中村洋製造部長(左)