PR
2010年4月に東京都渋谷区にオープンした「ザ・ノース・フェイス」の商品を扱う新型店
2010年4月に東京都渋谷区にオープンした「ザ・ノース・フェイス」の商品を扱う新型店
[画像のクリックで拡大表示]

 「ザ・ノース・フェイス」ブランドのスポーツウエアやアウトドア用品などを展開するゴールドウインは、2010年3月期までの2年間の努力が実り、同期末の総在庫量が2008年3月期に比べて約20%減ったことを明らかにした。「総在庫量を意図的に抑え込む施策を断行した」(総合企画本部経営企画室の白井準三室長代理兼経営企画グループマネージャー)成果だ。

 その施策とは、展示会直後の一括発注をやめ、初回在庫を抑制するというもの。通常のアパレル商品とは異なり、ゴールドウインのスポーツウエアに使う機能性素材は調達と製造のリードタイムが長くかかる。このため、シーズンの半年前に得意先向けの展示会を開催した時点で、半年後に投入する総在庫量を同社は決めている。

 従来はその計画値に従ってシーズン半年前に、予定数量をすべて工場に一括発注する慣習があった。それが大量の返品を生んでいた。リーマンショック以降の消費不況を機にこの問題に向き合い、「半年前の発注は計画数量の65~90%に抑えて、残りはシーズン突入後の売れ行きを見ながら追加で対応する体制に替えた」(白井室長代理)。どうしても調達に時間がかかる機能性素材だけを先に発注しておくことにした。

 在庫を抱えたがる営業現場とは根気よく議論を続けた。2008年9月に起きたリーマンショック直後の冬物商戦の売れ残りの多さが、結果的に営業現場の意識改革を促した。

2010年3月期の営業利益は前期比88.7%の大幅増に

 実質的な取り組みの初年度に当たる2009年3月期は、予想外に人気になった商品がシーズン中に足りなくなったり、素材だけは先に確保して追加発注に備えていた商品が思うように売れずに素材が余ってしまったりと、試行錯誤を繰り返した。それでも「素材はほかの商品に転用が利くのでリスクが小さいし、在庫の総量を抑えることでの利益押し上げ効果のほうが経営へのインパクトがはるかに大きかった」(同)という。

 2010年3月期は返品率が目標の10%を切るところまでこぎつけた。経営を圧迫していた不良在庫の返品率や値引き率、さらには余分な在庫や売れ残った在庫を運ぶ物流費を大幅に削減した。約15億円分の在庫削減に伴う四大改革(販売ロス削減、調達改革、物流改革、人員体制の見直しによる人件費削減)は業績に直結し、2010年3月期の売上高は前期比マイナス5.7%の減収だったにもかかわらず、営業利益は同88.7%の大幅増を達成した。

 2008年3月期と2010年3月期を比較すると、販売ロス削減としては返品率が13.7%から9.2%に4.5ポイント減少し、値引き率も3.4%から2.9%に0.5ポイント減少した。金額換算では約10億円の改善効果が出た。

 同じく調達改革としての調達原価率は27.8%から25.1%に2.7ポイント減少し、原価削減額は23億円に達した。物流改革は売上高物流費比率が4.7%から4.5%に0.2ポイント減少し、物流費の削減額は2億6000万円に及んだ。早期退職者の募集と自然減による人員削減も併せて実施し、社員数は130人減って3億5000万円の人件費削減につなげた。