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損保ジャパンから送られてくるファクスの入力業務をこなす、中国・大連にあるインフォデリバのセンター。セキュリティーを確保するため、損保ジャパンの専用ルーム(センター内センター)を用意。1件当たり平均7分台で処理して日本に戻すので、損保ジャパン側の日本のスタッフには中国で入力していることを感じさせない
損保ジャパンから送られてくるファクスの入力業務をこなす、中国・大連にあるインフォデリバのセンター。セキュリティーを確保するため、損保ジャパンの専用ルーム(センター内センター)を用意。1件当たり平均7分台で処理して日本に戻すので、損保ジャパン側の日本のスタッフには中国で入力していることを感じさせない
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 損害保険ジャパンは2010年末までに、自動車保険の代理店から届く、保険契約者の事故受け付けに伴う情報を書き込んだファクスの入力業務の90%以上を中国・大連にあるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング、関連記事)業者に委託する。これにより、ファクス入力にかかるコストを従来よりも約40%削減する。

 従来、こうしたファクスの入力業務は全国265カ所にいる損保ジャパンの事故対応担当者がこなしていた。入力時間は平日の午前9時から午後5時までに限定していたが、中国にBPOしてからは365日無休となり、時間帯も午前8時から午後10時まで広げたのでサービスレベルも向上した。

 同社は2009年12月、ファクス入力業務全体の約40%からBPOに踏み切った。委託先は大連に拠点を持つインフォデリバ(東京都港区)と、もう1社ある。平日は2社で半分ずつこなし、土日はインフォデリバだけが入力業務を受け持つ。2社に分けたのはリスク分散と、BPO業者同士の競争を促してベンチマークするためだ。

 その後は実績を見ながら段階的に委託範囲を広げ、2010年5月までに約75%まで拡大した。当初の予定よりも早いペースでの拡大で、「2010年内には年間で約30万件届くファクス全体の90%をBPOできそうだ。短期間で想定以上の成果を上げている」(井上靖英24時間サービスセンターサポート部課長)。

入力スピード最重視の方針をBPO先と共有

 BPOするに当たり、損保ジャパンが最も重視したのが入力スピードである。事故対応は急を要するものもあり、常に時間との闘いだからだ。「100%の入力精度は求めていない。それよりも早く打ち込んで、日本に入力データを戻してほしい。大連にいる中国人のオペレーターがファクスの文字を読み取れない場合は、そこだけ黒丸にしてもらって、あとから日本側で確認すればいい」(井上課長)。

 もっとも中国人のオペレーターは事故対応の日本語入力に特化して訓練を積んでおり、実は読み取り能力が高い。オペレーターに読み取れない日本語の手書き文字は、日本人でも読み取れないものが多い。幸い、読み取れない部分は事故対応に支障無い場合がほとんどだという。

 損保ジャパン側のこうした割り切りもあって、入力にかかる時間は開始からわずか半年で30%短縮された。例えばインフォデリバは、損保ジャパンからファクスの画像データを大連で受け取ってから入力を終えて日本に戻すまでの時間を、1件当たり平均7分台まで縮めている。開始当初に10分台だったことを考えると、半年で約3分短縮できたことになる。

 最大で約50人の中国人オペレーターに担当させているインフォデリバでは、ファクス1件につき入力担当者を8人待機させ、ファクスの電子データを入力項目別に8つのパートに分割して人手で並列処理する。オペレーターは各自が受け持つパートだけを即座に入力する。だから習熟も早い。最後に入力データを電子的に1つに結合し、それを損保ジャパンに納品している。

 この分割入力の発想が驚異的な処理スピードを生み出した。「1枚で内容が完結している事故受け付けのファクスを分割し、複数の人で入力するという発想は我々にはなかった」(井上課長)。2010年7月現在、日本の事故対応担当者が打ち込んだときに比べて入力時間は約半分になっている。それでいて入力ミスはほとんどないというから驚きだ。

 ただし、入力の平均時間が短くなっても、1件でも入力に30分を超えるような案件があっては事故対応としては駄目だと井上課長は語る。「そのことを繰り返しBPO先には伝えてきた。今はその認識を共有できているので、30分を超えるものは月に1件あるか無いかだ」。半年前の開始当初は月に数件ほどあったという。