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 出光興産は2013年3月までに、社内システムからメーンフレーム(大型汎用コンピューター)を全廃する。リプレースに当たっては、ERP(統合基幹業務)パッケージを新規導入するのではなく、既存のプログラムを現行のプログラミング言語にそのまま書き換える手法を全面的に適用していく方針。これにより、ソフトウエアの再開発費は従来の再構築に比べて3割程度抑制できる見通しだ。

 出光では、既存のプログラムを新たな言語に書き換えることでソフト資産を生かす手法により2010年5月までに数件のプロジェクトを完了した。2010年夏時点で、まだ社内情報システムの3分の1程度がメーンフレームで動作しているが、今後この手法を全面的に適用していく。

 プログラムの書き換えは中国・西安市に開発拠点を持つソフトロード(東京都港区)に委託している。出光はソフトロードの中国の技術者に既存システムのソースコードと設計文書類を送り、日本語の新たな仕様書と、リプレース用コンピューターで稼働するプログラミング言語を書き起こしてもらう。ソフトロードの劉忱(リュウ・シン)代表取締役社長は「長年作り込まれていてバグがほとんど残っていないシステムは、当社の『システムリフォーム』手法を適用しやすい」と話す。

ソフト会社に業務知識は不要。既に数システムで実績

 出光は今回の手法を最初に、石油プラント6カ所の保守・管理・故障原因分析などに使う「設備管理システム」のリプレースに適用した。2009年9月にプログラムのリフォームを終えて、既に新しいプラットフォームで稼働している。

 設備管理システムの前回の構築は1990年ごろで、社内で最も老朽化が進んでいた。担当者はほとんど残っておらず、ソースコードと紙の文書しか残っていなかった。「その紙には追記メモがあるなど信ぴょう性が怪しかった。仕様書を書き直してもらうことはとても重要だった」(出光興産情報システム部グループITセンター保守・開発一課の加藤治彦課長)という。

 ソフトロードは設備管理システムのプログラムを書き換え、仕様書を再作成。ここまでで300人月を要した。出光は、予算・実績管理機能など新機能を追加するよう要望し、追加開発には270人月かかった。

 出光はほかにも「総務関連システム」のリプレースに取り組み、2010年5月までに再開発を終えた。旧システムはプログラミング言語にCOBOL(コボル)を採用していたが、新システムではJava(ジャバ)に書き換えた。

 設備管理システムも総務関連システムも、開発費は従来手法に比べて3割程度削減できたという。開発費が安く済むのは、業務状況のヒアリングなどの上流工程を省けるためだ。ソフトロードの技術者は石油プラントに関する業務知識をほとんど持っていないが、ソースコードと文書を解析するだけで、出光の要求に応えている。